前回同様、今回も引き続きキヤノンショールーム訪問の記事になります! 前回ではオフィス機としての機能も兼ね備えている複合機、imagePRESS C165のご紹介をメインにさせていただきました。C165は皆さんもご利用しているオフィス機に近く、親しみが感じられたのではないでしょうか?
※POD…「プリントオンデマンド」(Print on Demand: POD)の略で、一般的にオンデマンド印刷と呼ばれています。 On demandとは「要求があった時にサービスを提供する方式」という意味になります。 つまり、必要な時に必要な部数だけ印刷するということです。
今回はimagePRESS C165とは少し変わり、より専門性の高いプロダクションプリンターをご紹介していきたいと思います!
プロダクション機セグメント別ラインナップ紹介
カテゴリ | モノクロ | カラー |
High | Océ VarioPrint 6330 シリーズ | ——– |
Middle | varioPRINTシリーズ | image PRESS C10010VPシリーズ |
Light | image RUNNER ADVANCE 8700 シリーズ | image PRESS C910シリーズ |
Very Light | ——– | image PRESS C165 |
Creative Arts | ——– | image PRESS C660CA |
キヤノンのプロダクションプリンターは分類するとこのように分かれています。
出版業や大きな広告・商業印刷など、よりコアにプロダクションプリンターをご使用していただく方にはHigh。オフィス複合機に近いがデザイン性も兼ね備えているものをお求めの方にはLightをご紹介しております。
目次
・image PRESS C660CA
・image PRESS C910
・image PRESS C10010VP
・Océ VarioPrint 6330
・その他複合機
image PRESS C660CA
前回ご紹介しました、image PRESS C165と同じimage PRESSシリーズです。こちらはC165とは違いオフィス用ではなく、クリエイティブアーツ向けのデザイン用となっています。大きさはオプションを追加していても、C165より少し大きいくらいでした!
❶最大330.2×1,300mmの長尺紙に対応しております。さらに、762mmまでは自動両面印刷も可能なため、リーフレットや三つ折りメニュー、など容易に出力ができ、時期や配布対象に合わせたり、特殊な用紙にも対応し柔軟に作成ができます。
❷液晶が飛び出ていることが気になり伺うと、車椅子の方や、障がい者の方にも使いやすくしているため、とのことでした。液晶が固定ではなく動かせるようになっているなどバリアフリーも考慮されています。
❸また、専属プリントサーバーが付属されています。このサーバーによって画像の処理速度が格段にあがります。例えば重いデータを扱う際、このサーバーのあるなしでは速度が全く異なり、サーバーがあることでより速く処理ができます。
※専用サーバーが付属しないimagePRESS C660というモデルもございます。
機械内の温度管理をより細やかにし印刷品質を維持するため、C660CAは排熱用のエアフローを搭載しています。これにより過度な温度上昇による印刷品質の低下を抑えたり、厚紙・普通紙など定着温度差のある印刷もスピーディに行える設計です。特殊な用紙を印刷する場合は、温度を高くして色の定着に時間をかけているので速度はおちますが、C165と比較するとC660CAのほうが断然速い処理速度で印刷が可能です。フィニッシャーはC165と全く同じ構造となっています。
image PRESS C910
C660CAと比較するとかなり大きいという印象です。印刷の後工程である、断裁、製本もできる複合機です。
封筒の印字のズレを防ぐ
封筒がかさばらない様にするための(閉じる部分が厚いので)板を置くことで用紙を並行に保ち、用紙を送る際にまっすぐになるようにします。郵便番号の枠の部分に合わせて印刷したいときに枠と数字がずれてはいけないので、封筒をまっすぐにする場合に使用するとのことです。意外とアナログなものが利用されていたので、驚きました。角形2号、長形3号、洋長形3号封筒の他、はがきにも対応していて、いずれも本体カセットから給紙することができます。
実際にパンフレットを印刷!
印刷ボタンを押してから、折りたたまれたパンフレットが完成するまで1分もかかりませんでした。紙の厚さにもよりますが、大体の印刷物は製本まで1分はかからないそうです。
パンフレット自体も色がしっかりと表現されていて、折り目を見てもとても綺麗な印刷でした。
また断裁に関しては「小口だけ切りたい」という要望が多いため、機構的には「小口カット」→「天地カット」という流れになっております。
image PRESS C10010VP
キヤノンショールーム6Fに入った際に一番目を引いた複合機がこのimage PRESS C10010VPです。とても大きく、フルオプションにすると10m近くになるプロダクションプリンターです。
2月前くらいに新装されたばかりであり、現在のキヤノンのプロダクションプリンターで一番新しいものがC10010VP/C9010VPです。すべての給紙が、空気によって行うエア分離によって分離板(※)と用紙との接触がなくなるので、出力紙を傷つける可能性を大幅に軽減しています。また耐水紙などの特殊紙を本体のどこのカセットにいれても印刷が可能です。
※…薄い板金の表面に、高非粘着性のシート(フィルムタイプ)やコーティング膜を形成し、トナーの非粘着性とズレを抑えるためのもの。
内部構造
トナーは中間タンクがあるので計2本分のトナーを入れられます。機構は特殊な用紙で印刷する場合でも、重送しづらい構造になっていますが、もし重送してしまった場合機構の中にセンサーがあり、2枚重なっているものを感知してくれます。一般的なプリンターであれば一旦印刷を停止し、重送した用紙を取り出さなければいけませんが、C10010VPは重送した用紙をエスケープトレイに排紙するので、印刷を止めずにそのまま出力を継続します。紙詰まり、重送のエラーにより滞っていた印刷がスムーズになり業務の効率化が図れます。
本体構造
ショールームに展示されているC10010VPは黒い部分が本体になっています。このプロダクションプリンターの機構の扉(黒い部分)の耐久性が一番高いそうです。
特長
この機械の最大の特長として定着器が2つあることです。業界で2台装備しているのはC10010VPだけで、他社にはない機能になっています!
紙質に応じて適切に定着経路を変えるデュアル定着システムを採用しており、メディア等速の実現により、片面・両面、薄紙・厚紙などメディア混載時も高い生産性を維持します。
しっかりと定着に時間をかけていることにより、1時間で印刷出来る枚数をトータルでみた際、C10010VPの生産性がどのプロダクションプリンターと比べても高いのです!
オプション
・インサーター
小口断裁、三方裁断、中とじ、くるみ製本、Z折り、内三つ折り、外三つ折り、中折り、四つ折りなど、多様な後加工が可能です。製本の際に使用される糊は食べられるということに驚きました!
・スタッカー
製本された本や紙を積載させる事ができます。5000部など多く印刷される方向けにリフトもついています。2段構造になっていて上から積載された印刷素材が溜まると自動で下の空の部分が上にくるため、止めることなく印刷できます。
業務効率向上の訳とは
このC10010VPは印刷業の方が利用している事がほとんどですが、最近は通販業の方が多く利用しています。中でもネット通販の会社が多く、大手の企業の利用事例としては、マーケティングオートメーションと連携してC10010VPを活用しています。
カートに入れたまま商品を買わずにサイトを閉じてしまう、いわゆる「カート落ち」の商品を24時間以内に検知し、C10010VPで印刷・製本しカタログとして届けるというような仕組みです。“オススメ商品をお伝えする”というコピーや見せ方を行い、お客様の名前を入れて購入商品に同梱することで購入機会の創出に成功しています。このC10010VPを利用した事例は、第33回全日本DM大賞の金賞グランプリも獲得しています。
Océ VarioPrint 6330
Océ N.V.(以下オセ)というキヤノンの連結子会社で作られたプロダクションプリンターになります。上記のようなプロダクションプリンターを見学させていただいてから、このプロダクションプリンターの機構を見ると作りが全然違うことが分かります。
海外の機械なので、扉部分も厚く、重くできています。上記のプロダクションプリンターは表面を印刷してから、機構を通って裏面を印刷するものでしたが、このオセのプロダクションプリンターは同時に両面印刷をする機構です!
また、トナーもいままでのものとは違い耐擦過性のものを採用しています。耐擦過性とは印字表面の「擦り」に対する耐性です。例えば、絨毯の毛を撫でたり擦ったりすると色が少し変わるように、肉眼では分からないくらいですが、完成した印刷物を擦ると色が少し変わったように見えることがあります。用紙表面に顔料を残すことで画像形成しているインクジェットでは、何の工夫もしないと表面を「擦る」だけで簡単に表面のインクが取れてしまいます。後加工時のこすれや使用時の擦れに対する耐性を持つことが、文書印字ではとくに要求されます。
オセのプリンターで出力した印刷物は擦っても滲まず、綺麗に印刷されていました! この完成した印刷物のなじみには好き嫌いが分かれますが、かなりスピードが速く、1分間に328枚もの高速出力が可能になっています。また、Océ VarioPrint 6330、6270、6220、6180と各シリーズがありますが、180枚機を購入したとしても、月単位でスピードを速くすることが可能なのです。機構自体は一緒の作りなので、用紙を印刷するスピードを購入後に一時的に上げることで、繁忙期や突発的に納期が早い印刷物にも対応ができる! この機能はオセを上手く利用できるポイントでしょう!
その他複合機
上記のプロダクションプリンターを主にご紹介させていただきましたが、その他にも封筒の印刷のみに特化したものや、imagePRESS C910の外観にとても似てるのに機構が全く違うものなど、帳票、納品書専用の専門性の高いプロダクションプリンターが多くありました。
印刷の品質を大切にしているお客様の場合は、C165を利用するより、C910を利用するお客様が多いとのことです。色味の安定性や給紙の種類が多いのでC910の方が品質にこだわりを持たせることが可能です。C165に関しては基本的にはオフィス複合機として利用しつつ、営業用のチラシなどの少部数を外注していたものを内製化する方にオススメとのことでした! 色味の安定性やオフィス複合機としても利用したい飲食店の方はC165を利用してる方が多いそうです。
今回のショールーム訪問では、普段見ることのできないプロダクションプリンターに触れる貴重な体験ができました。作りもシンプルで分かりやすい機構なのに、印刷から製本までの複雑な工程をこなしてしまうという繊細さと、外観の迫力に圧倒されました!
ここで重大発表…! これを機に事務機器ねっとも、今後ご紹介したようなプロダクションプリンターを取り扱う予定です! またWebの情報が更新され次第お伝えさせていただきます!!
種類別のプロダクションプリンターの一つ一つを丁寧に紹介、案内していただきました。キヤノンマーケティングジャパン様、ありがとうございました。
キヤノン ショールーム
■住所・アクセス
〒108-8011 東京都港区港南2-16-6 キヤノン Sタワー
品川駅(JR線)港南口より徒歩8分
品川駅(京浜急行線)徒歩約10分
キヤノンショールームレポート第二弾の今回は特殊な複合機を細かくご紹介させていただきます!(第一弾はコチラ)今回のショールーム訪問は情報が盛りだくさんなので、2回に分けてお送りいたします。 <目次> ・プロダクションプリンターとは ・プロダクションプリンターで出力できる豊富なアイテム ・ima...
コピー機人気ランキングでも1位2位を争う人気商品を製造しているキヤノンのiR-ADVC5535FⅢ。複合機だけではなく、一眼レフカメラのEOSやPIXUS等のインクジェットプリンターで有名なキヤノンマーケティングジャパン様のショールームにお邪魔しました! OKIデータ様のショールーム訪...
2019年10月1日にオープンした京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社(以下:京セラ)のショールーム「ナレッジプラス」を訪問しました!オープン直後に新型コロナウイルスが蔓延し、足を運べずにいましたが、ついに伺うことができて感無量です。 今回は、京セラの複合機・プリンターの最新機種...
事務機器ねっとは社員の名刺を内製しています。 その際に使用していたプリンター(富士ゼロックス DocuPrint C3450d II)は、導入してから5〜6年が経過しており、経年劣化のため、ついに故障してしまいました。 修理に手をつくしてきましたが、コストが余計にかかりそうだったので、新しいプリ...
前回富士フイルムビジネスイノベーションジャパンのショールーム訪問記事で、掲載しきれなかった複合機をご紹介いたします。今回の記事でご紹介する複合機も新ブランド「Apeos」です。紹介機種は、Apeos CシリーズのApeos C7070と、ApeosProシリーズのApeosPro C810です。新し...
2021年4月より富士ゼロックスから社名を変更した、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社のショールームに訪問させていただきました! 約半年ほど前に新たな国内営業向け拠点として、豊洲ベイサイドクロスタワーにセンターオフィスと体感型ショールーム「Bridge for Innovat...
シャープショールームの記事も第三弾になりました! シャープ様のショールームにも盛りだくさんの情報があり、魅力を可能な限りお伝えできるようにした結果、第三弾目! 今回は前回の記事ではご紹介できなかった、複合機4機種をご紹介いたします。 また、シャープ様に頂いたBP-20C25の模型を組み立ててみまし...
前回シャープショールーム訪問記事で掲載し切れなかった、シャープの複合機を中心にご紹介したいと思います。シャープさんにはMX-2661という機種をご紹介していただきました。このシリーズは「オフィスをスマート」にというコンセプトのもと作られている製品になります。そのコンセプト通り、オフィス業務に必要なあ...
今回はシャープのショールームに訪問させていただきました! ショールームに入室しますと、大きな液晶が私たちを待っていました。シャープといえばAQUOSなどのテレビで使われている液晶が有名ですよね! 奥行きや立体感があり、8Kの映像がとてもきれいに映し出されていました。8Kの映像が防犯対策に使わ...
前談でOKIのショールームへ訪問。MICROLINE VINCIについて色々お伺いしてきたわけですが、実際にどんな製品に印刷できてどんなプロダクトが完成するのかは実物を見たほうが早いはず! 今回はOKIデータのショールームに展示されていた『 実際にVINCIで出力した試作品・デザインサンプル』をご...