コピーの際に入力する数字を間違えてしまい大量の印刷をしてしまったという経験や、配布しようとしていたパンフレットの在庫が余ってしまい大量に残ったという経験はございませんか? そのような際に発生する、間違えてしまった紙や大量に残った紙は両面印刷でない場合、裏紙をメモとして利用している方もいらっしゃるかと思います。しかし、1枚の紙を捨てる時と同じ感覚でゴミ箱に捨てている方もいらっしゃるでしょう。このように、無駄になった紙は古紙としてリサイクルが可能です。今回は知ってそうで知らない紙リサイクルをご紹介いたします。
<目次>
・なぜ、紙リサイクルをするのか
・古紙の種類は全て同じだと思っていませんか?
・なぜ分別するのか、古紙の種類との関わり
・製紙原料にならないもの
・オフィスペーパー
・オフィスペーパーを排出する際の注意事項
・古紙の再生に参加しましょう
なぜ、紙リサイクルをするのか
根本的な話ですが、なぜ紙リサイクルをするのかを振り返っていきましょう。紙の原料を辿ると全て木材(パルプ用材)なのです。コピーミスや不要になった用紙を何も考えずに簡単に捨ててしまうことは、森林資源を浪費しているということになります。森林は日本という狭い国土の中で発生する大事な資源です。紙リサイクルは、一度使用された紙を繰り返し使用することで森林資源の有効的な活用になります。古紙をリサイクルすることで、新たな森林伐採を抑制し、貴重な森林資源を守っていくことが可能です。そして、紙をゴミ箱に捨てそのまま廃棄物として処理される量を減らすことができ、廃棄物の減量化に繋げていくことができるのです。
古紙の種類は全て同じだと思っていませんか?
なぜ分別するのか、古紙の種類との関わり
町内の廃品回収など、幼少期ボランティアで参加していると、なぜ同じ紙なのにこんなにも分けられているのか? 筆者はそう思ったことがあります。一般的に、新聞・段ボール・雑誌・雑紙・飲料用紙パック(牛乳パックなど)に分別されています。分別された古紙は品質や特徴に応じて、リサイクル後に異なる物に生まれ変わります。給食の時など、牛乳パックを解体した経験が懐かしく感じますよね。
新聞 → 新聞、コピー用紙
段ボール → 段ボール箱
雑誌 → 菓子箱、書籍
雑紙 → 段ボール箱
飲料用紙パック → トイレットペーパー
製紙原料にならないもの
古紙をリサイクルする際に大切なことは、上記を分別する他に禁忌品(きんきひん)を混同させないようにすることが大切です。禁忌品とは、リサイクル原料としては適切でない異物のことを指します。 リサイクル原料に禁忌品が混入した場合、機器のトラブルを誘発したり、リサイクル製品の品質低下の原因となります。
禁忌品一覧(例:古紙再生促進センター)
・靴や帽子…カバンなどに入っている緩衝材
・昇華転写紙…アイロンプリント紙※1
・感熱性発泡紙(立体コピー紙)…展示印刷物
・臭いのついた紙…石鹸や洗剤、柔軟剤の包装箱
・食品残渣のついた紙…ピザやケーキ、ドーナツなどの食品を直接包装した箱や紙袋
・蝋段(ワックス付き段ボール)…輸入品や水産加工物を入れる段ボール箱
・不織布…マスクや簡易お手拭き、包装紙など
・使い捨ておむつ…紙おむつ、生理用品、ペット用トイレシート
・合成紙・ストーンペーパー…地図、選挙ポスター
・箔押しされた紙…金銀の折り紙など
・圧着ハガキ…公共料金の請求書
・新聞折込チラシ、雑誌…
サンプルが付属したままの新聞折り込みチラシ
・カーボン紙、ノーカーボン紙…宅配便の伝票など
・感熱紙…レシート
・印画紙…写真、プリクラ
など、上記以外にも種類はありますが、間違えて古紙リサイクルに出してしまいそうな禁忌品を並べてみました。紙なら全てリサイクルできると思ったら大間違いですね。今まで禁忌品と知らずに、リサイクルに回していた古紙もあるかもしれません。
※1…昇華転写とは、あらかじめ専用の紙にデザインをプリントし、インクを熱で気化させ、転写したい素材に染みこませるプリント方法です。ポリエステル製の衣料やのぼり旗等の制作に使われるのが一般的ですが、最近ではマグカップやスマートフォンケースなど、昇華転写用途に使える素材の販売が増えており、使える用途が拡大しています。オリジナルの製品を作れることが魅力的ですね。
オフィスペーパー
オフィスペーパーとは、会社内で発生する紙、または紙製品のことです。主に製本していない墨印刷・色刷りのある印刷物、使用済みのコピー用紙を含んでいる物のことを指します。具体例としては、オフィスで不要となったコピー用紙、チラシ、名刺、封筒、包装紙、紙袋などの全般を指します。名刺などは個人を特定する情報も書かれているため、シュレッダーにかけることをオススメします。シュレッダーにかけた紙の取り扱いに関しては、古紙の排出者と取引業者で協議が可能とのことです。
オフィスペーパーを排出する際の注意事項
先ほどご紹介した禁忌品と酷似して、オフィスペーパーをリサイクルに出す際は気をつけてほしいポイントが5つあります。
・シールが貼られたハガキや封筒は取り除いてください。
・プラスチックフィルムのついたティッシュの取り出し口や窓枠封筒は、そのプラスチック部分を取り除いてください。
・同じくプラスチックフィルムが貼られた雑誌の表紙などは、金属やプラスチックを取り除いてください。
・紙や紙箱に貼られた粘着テープは取り除いてください。
オフィスで回収している紙類も気をつけなければいけないポイントが多々ありますね。そのくらい、紙のリサイクルには気を配らなければいけないということなのです。
古紙の再生に参加しましょう
筆者の以前勤めていた会社では紙を大量に取り扱っておりました。もちろん排出するオフィスペーパーは多いため、古紙を貯めるボックスがありました。しかし、ホッチキスを留めたまま収集ボックスに入れられた資料があったり、酷いものはひと目でわかるような大きなクリップがついたまま捨てられていました。
複合機のコピー用紙が無くなってしまった場合、気づいた人が補充してくれるように、このような古紙のリサイクルでも気づいた人が整えてくれます。また、1枚だけ印刷をミスしても、その1枚もくしゃくしゃにしてゴミとして捨ててしまうのではなく、会社全体で古紙を集めてみることもありかもしれません。
このように、紙を大切に扱うという取り組みを会社全体で行うために、コピー用紙がなくなったら補充、古紙リサイクルの制度を整えるなどのルールを設けてはいかがでしょうか?
国連加盟国193カ国の国が2030年までに掲げている17個の目標、SDGs(Sustainable Development Goals = 持続可能な開発目標)の15番目に「陸の豊かさも守ろう」という項目があります。日本国内だけでなく、世界の幅広い目標になってしまいますが、先進国である日本はこのような活動に積極的に取り組んでいくべきでしょう。オフィス全体で紙に感謝して使用し、リサイクルも意識しながら、業務に励みたいですね。
以前ご紹介したアメリカのロックバンド、OK Goのミュージックビデオで使用された紙もリサイクルされています。こちらの記事もよろしければご覧ください!
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