2015年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))は、サステナビリティ(※)のための具体的な17の目標を指します。
また、それぞれの開発目標には、さらに具体的な「ターゲット」があり、その数は169個にも及びます。
※:サステナビリティとは、環境や経済等に配慮した活動を行うことで、社会全体を長期的に持続させていこうという考え方です。「Sustain(維持する・持続する)」と「Ability(〜する能力)」を組み合わせた造語で、日本では「持続可能性」と呼ばれています。
コピー機メーカーである、シャープやキヤノン、富士フイルム、OKI、京セラ、エプソンも、サステナビリティを意識した経営を行い、社会的な責任を果たしている企業として、環境問題や社会問題の解決に貢献しています。みなさんが使用しているコピー機も、実は環境に配慮した様々な試行錯誤が反映された製品で、その結果が環境ラベルという指標で示されているのです。
今回は、コピー機にどのような環境ラベルがついているのか、各メーカーは環境に対してどのような取り組みをしているのかをご紹介します。
・環境ラベルって何?
・環境ラベルの分類
・エコマークとグリーン購入法
・グリーン購入法適合商品を調達するメリット
・グリーン購入法の対象コピー機の条件と目印
・コピー機に関わる環境ラベルの説明
・各メーカーが対応する環境ラベル
環境ラベルって何?
環境ラベルとは、商品やサービスがどのように環境負荷を軽減するかを示すマークや目印のことです。
例えば右のマークも環境ラベルのひとつです。
この環境ラベルはエコマークといい、皆さんの身近な製品で目にしているかと思います。エコマークの示す意味は後述しますが、この他にも様々な環境ラベルが存在します。
環境ラベルの分類
環境ラベルは、各国の代表標準化機関であるISO(international organisation S
tandardization:国際標準化機構)よって、3つのタイプに分けられて制定されています。
タイプI(ISO14024)
第三者認証
特徴:第三者認証による環境ラベル
内容:第三者実施機関によって運営
製品・サービスのライフサイクルを考慮した基準策定。
事業者の申請に応じて審査をして、マークの使用を認可。
タイプII(ISO14021)
自己宣言
特徴:事業者の自己宣言による環境主張
内容:製品における環境改善を市場に対して主張。
製品やサービスの宣伝広告にも適用される。
第三者による判断は入らない。
タイプⅢ(ISO14025)
環境情報表示
特徴:製品の環境負荷の定量的データの表示
内容:合格・不合格の判断はしない。
定量的データのみ表示。
判断は購買者に任される。
ちなみにエコマークは、ISO規格に準拠した日本唯一の第三者認証(タイプI)です。
「自主的で多様な基準に基づいた、第三者の機関によって、ラベルの使用が認められる制度」とされています。
エコマークとグリーン購入法
グリーン購入とは、環境への負荷が少ない商品やサービスを優先して購入することです。
値段や品質だけでなく、環境や社会への影響を考慮することが求められます。
グリーン購入を促進させるために制定された法律が、グリーン購入法です。
ちなみに、エコマークは、グリーン購入法の判断の基準により、多面的な基準を策定しており、エコマーク認定商品は、原則としてグリーン購入法に適合しています。
国等の各機関は、この「判断の基準」に適合する物品等の調達目標を設定し、調達実績を取りまとめて公表しなければなりません。
エコマークの認定基準はグリーン購入法「判断の基準」と上位互換の関係にあるため、エコマーク認定された商品はグリーン購入法「判断の基準」の適合確認に置いても信頼性が確保されています。
つまり、あなたがエコマークの商品を活用することで、調達する物品が「判断の基準」に適合することを簡単に確認することが可能です。(一部エコマークの対象となっていない分野・品目もあります。)
グリーン購入法適合商品を調達するメリット
グリーン購入法としては、事業者および国民は、「できる限り環境物品等を選択する」よう努めるものと制定しています。
特に、物品の製造、輸入、販売、役務の提供の事業者は、環境への負荷の把握のため必要な情報を、適切な方法で提供するよう努めるべきとのことです。
上記のように「できる限り環境物品等を選択する」よう努めることは、環境面だけではなく社会や経済に置いてもメリットが期待できます。
グリーン購入に取り組むことによって、環境保全やSDGsへ貢献でき、CSR(社会的責任)にも繋がります。
例えば、オフィスに必要なデスクやチェア、事務機器ねっとが販売しているコピー機などを、グリーン購入法に適合されている製品の中から購入することで、環境配慮に努める市場の拡大が見込めます。
また、近年消費者の中で、環境に配慮したサービスや環境経営に注力している企業を選ぶ「グリーンコンシューマー」が増えています。
同様に、環境配慮製品やグリーン購入適合商品を促進する事業者も増えており、その1つに事務機器ねっとでも取り扱っている各社メーカーも挙げられます。
企業の環境への意識は、商品を選ぶ際の決定に大きな影響を与え、企業の環境への意識レベルが高いことを示し、企業イメージを向上させる手段でもあるのです。
グリーン購入法の対象コピー機の条件と目印
グリーン購入法の対象範囲となるコピー機の基準は、
・リユースに配慮したコピー機(再生型機または部品リユース型機)であること。※
・特定の化学物質の使用が制限されたものであること。※
・国際エネルギースタープログラムの基準をそれぞれ満たすこと。
※どちらかの条件を満たすこと。
上記を満たしているコピー機である必要があります。
また、参考となる環境ラベルとしては、エコマーク、国際エネルギースタープログラム、省エネラベリング制度等があるようです。ちなみに上記の条件は、現在販売されているコピー機の大半が満たしています。(参考:FUJIFILM公式HP)
基準の1つである、リユースに配慮したコピー機には、「リファビッシュ複合機」があります。
「リファビッシュ」とは初期不良で返品されたものや、中古商品の不具合パーツがある電化製品を、メーカーで修理・調整して再出荷した製品を指し、街のリサイクルショップに並ぶような単なる中古品ではありません。
また、グリーン購入法適合商品には決まったロゴはございません。そのため、各社メーカーのグリーン購入法適合商品には右のような目印があります。
コピー機を導入する際の判断基準として検討してみても良いのではないでしょうか。
コピー機に関わる環境ラベルの説明
グリーン購入法に関するご紹介をしてきましたが、エコマークと同様の環境ラベルは様々な種類が存在します。
コピー機に関連する環境ラベルはどのようなものがあるでしょうか。
代表的なものをご紹介いたします。
エコマーク
<どんなマーク?>
エコマークは、様々な商品(製品及びサービス)の中で、「生産」から「廃棄」に渡るライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルです。
国際エネルギースタープログラム
該当しません。(※)
<どんなマーク?>
オフィス機器の国際的省エネルギー制度です。
製品の消費電力などについて米国EPA(環境保護庁により)基準が設定され、この基準を満たす製品に「国際エネルギースターロゴ」の使用が認められています。
※国際エネルギースタープログラムは、エネルギー効率の高い製品にのみ付与される認証制度です。環境ラベルですが、製品ライフサイクル全体における環境負荷を考慮するものではないため、該当しません。
エコリーフ環境ラベル
<どんなマーク?>
エコリーフ環境ラベルは、資源採取から製造、物流、使用、廃棄・リサイクルまでの製品の全ライフサイクルにわたって、LCA(ライフサイクルアセスメント)による定量的な環境情報を開示する環境ラベルです。結果をある基準に従って合否判定することはなく、客観的な情報やデータの公開に止め、その評価は読み手に委ねられます。
カーボン・オフセット認証ラベル
<どんなマーク?>
カーボン・オフセット認証ラベルは、カーボン・オフセット制度の下、個別のカーボン・オフセットの取組が、環境省のカーボン・オフセット第三者認証基準に基づいて認証された案件に付与されます。
信頼性の高いカーボン・オフセットの取組の普及を図り、国民及び事業者等による温室効果ガス排出量の認識及び一層の削減努力を促進することを目的としています。
各メーカーが対応する環境ラベル
事務機器ねっとで取り扱っているメーカー6社も、環境ラベルに対応した商品を開発しています。
各メーカーの商品で用いられている環境ラベルを、環境に対する取り組みと共にまとめてみました。
シャープ
・エコマーク
・国際エネルギースタープログラム
・グリーン購入法適合品
シャープは、1992年に定めた環境基本理念「誠意と創意を持って『人と地球にやさしい企業』に徹する」の下、2019年に長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を策定しました。
「気候変動」「資源循」「安全・安心」の3つの分野で2050年の長期目標を設定し、持続可能な地球環境の実現を目指しているとのことです。
キヤノン
・エコマーク
・国際エネルギースタープログラム
・グリーン購入法適合商品
・森林認証制度
・EU RohS指令
キヤノンは1988年以来、「共生」の企業理念のもと、環境保全活動にいち早く取り組み、地球環境や自然環境との良好な関係の構築に注力してきました。
2006年に設立された国際的なエコラベルである「EPEAT」において、気候変動への取り組みに関する新評価基準を設けた「EPEAT Climate+ designation」を取得しています。
2050年に向けた、「キヤノンMJグループ環境ビジョン2050」に向けシャープと同じく、「気候変動対応」「資源循環」「生物多様性保全」といった地球環境に配慮した経営を目標に取り組みを進めているそうです。
富士フイルム
・エコマーク
・国際エネルギースタープログラム
・グリーン購入法適合商品
・エコリーフ環境ラベル(日本)
・グリーンプリンティング認定制度(日本)
・中国環境表示計画(中国)
・中国省エネ認証(中国)
・韓国環境ラベルプログラム(韓国)
・Eco Choice Aotearoa(ニュージーランド)
・グリーンラベル(タイ)
・シンガポールグリーンラベルスキーム(シンガポール)
富士フイルムは、2030年度をターゲットとしたCSR計画「サステナブルバリュープラン(SVP)2030」での、「製品・サービスによる社会での環境課題解決への貢献」を進めるにあたり、従来から実施している環境配慮設計の社内規則に、製品の環境価値を明確にし、優れた製品を環境配慮製品として認定する富士フイルムグループ「Green Value Products」認定制度を運用しています。
OKI
・エコマーク
・国際エネルギースタープログラム
・OKIエコプロダクツ
OKIグループは、商品に関する環境活動として「低消費電力化」「化学物質規制などへの適正」「省資源化(小型軽量化など)」に積極的に取り組み、環境配慮型商品を提供することで環境負荷の低減に貢献しています。
OKIは、全ての製品に共通する環境基準と製品固有の特性を主張した製品個別の環境基準の両基準を全てクリアした製品をOKIエコプロダクツとして認定しています。
京セラ
・エコマーク
・エコリーフ
・国際エネルギースタープログラム
・グリーン購入法適合品
京セラグループでは、社会情勢、国際社会の動向や取り巻く外部環境等を通じて、取り組むべき課題についてサステナビリティ委員会で審議のうえ特定しています。
「気候変動」「水リスクへの対応」「資源循環の取り組み」「環境汚染防止の取り組み」等、エコロジー(環境性)とエコノミー(経済性)の両立を追求しながら持続的な発展を目指しているようです。
エプソン
・エコマーク
・国際エネルギースタープログラム
・グリーン購入法適合品
・エコリーフ
・J-Mossグリーンマーク
・PCグリーンラベル適合製品
・EU RoHS指令対応
・安全データシート
・エコロジープロファイル公開製品
エプソンは、「環境ビジョン2050」を掲げ、中間目標であるEpson 25 Renewed(2025年)や世界共通の目標であるSDGs(2030年)を置き、持続可能な社会の実現に貢献するという取り組みを行っているとのこと。
脱炭素や資源循環、汚染防止など、環境負荷の削減に向けたマネジメント活動を推進しているようです。
各社、環境問題に積極的に取り組んでおり、CSRやサステナビリティに重点を置いています。
また、企業はSDGsを達成するためにも積極的な役割を果たしており、地球環境や社会の持続可能性を考慮したビジネス戦略を展開しています。
これらの取り組みは単なる企業活動だけでなく、社会全体にポジティブな影響を与え、持続可能な未来の実現に向けた一翼を担っています。
あなたの企業が環境に配慮した製品やサービスを購入することで、地球環境と社会の健全性を促進し、持続可能な未来の構築に向けた重要な一歩となるのです。
コピーの際に入力する数字を間違えてしまい大量の印刷をしてしまったという経験や、配布しようとしていたパンフレットの在庫が余ってしまい大量に残ったという経験はございませんか? そのような際に発生する、間違えてしまった紙や大量に残った紙は両面印刷でない場合、裏紙をメモとして利用している方もいらっしゃるかと...
ビジネスの世界では、「もっとサステナビリティを押し出していかなければいけない」という言葉をよく耳にします。現在の各複合機メーカーでは、製造する各工場にてサステナビリティに取り組んでいるそうです。サステナビリティという言葉をよく耳にしても、あまり詳しいことは分からないという方も多いのではないでしょうか...