複合機でペーパーレス化? クラウドサービスのOCR機能とは
普段複合機を利用する場合、「印刷」「コピー」「スキャン」「ファックス」などが一般的かと思われます。しかし複合機には普段は利用しない様々な機能が備わっています。その中でも今回はクラウドサービスについてご紹介いたします。
クラウドサービスとは
クラウドという言葉を聞くと、あまりピンとこない方が多いかもしれません。クラウドサービスとはコンピューターの利用形態の一つです。ネットワーク上の仮想空間(雲の中)にシステムを移動させたものになります。例えばGoogleのサービスやSNSもクラウドサービスの一種なのです。
このクラウドサービスは、近年、デジタル社会の実現を目指すIoT(※1)としても重要になっています。つまり、複合機とクラウドサービスの連携は、今後複合機を利用するにおいて必須ということなのです。
※1…モノのインターネット(英:Internet of Things)とは様々な「モノ」がインターネットに接続され、「モノ」自体にインターネットがつながっている状態になり、情報交換をすることで互いに制御する仕組みのことです。人とモノの間、およびモノとモノの間の新しい形の通信を可能にすることが目的です。
各メーカーのクラウドサービスの比較
事務機器ねっとが取り扱っている、各メーカーの複合機とクラウドの連携状況をまとめてみました。
Canon
キヤノンはuniFLOW OnlineとuniFLOW Online Expressという、複合機とクラウドサービスの接続を実現するための印刷管理ソリューションを扱っています。uniFLOW Onlineを使うことで複合機から各種クラウドサービスに直接送信することができ、スムーズな情報共有や業務効率の向上を支援できます。
<uniFLOW Online>
- クラウドサービスへの直接送信を実現
スキャン機能でuniFLOW Onlineを使うことで複合機から各種クラウドサービスに直接送信することができ、スムーズに情報共有や業務効率の向上ができます。 - 個人認証で情報漏洩リスクを低減
印刷やコピーといった作業の際も、個人認証をすることにより、情報漏えいのリスクを軽減することができます。認証の手続きシステムが社内になくてもuniFLOW Onlineが、クラウドベースの認証基盤を提供します。 - 集計レポートを分析して無駄を排除
見やすいレポートで、利用状況を詳細に把握することで無駄をなくし、カラー印刷比率や両面印刷率など無駄を省くための指標となるデータを簡単に把握できます。 - どこでも印刷・モバイル印刷
場所を選ばずに、スマートフォンやタブレットを使用してデータを安全に印刷できます。プリンタードライバーやアプリケーションをインストールする必要がなく、簡単に印刷できます。
また、キヤノンはオフィス向け複合機「imageRUNNER ADVANCE DX」シリーズ(2020年6月発売)の機能を広げる新たなクラウドサービスとして、紙文書の電子ファイリングの自動化・効率化を実現する“uniFLOW Online Cloud Scan Advance (ユニフロー・オンライン・クラウド・スキャン・アドバンス)”の提供を2020年7月29日より開始しました。
業務で使用する定型帳票のスキャンデータにOCR(光学文字認識)処理を行い、ファイル名やフォルダー名とともに保存先のフォルダーを設定し、帳票を自動で振り分け保存できる新しいファイリング方式です。本体の操作パネルに、部門や個人、請求書などの帳票の種類、業務など使い方に合わせて事前登録することにより、原稿を読み取り、事前に学習させておいた定型の帳票と照らし合わせ、帳票のレイアウトの特徴を分析し、ファイル名の付与、外部クラウドストレージのフォルダーへの振り分け保存を自動で行います。レイアウトの特徴は1つのボタンに最大1,000件登録できるため、会社にある多くの帳票を認識し、電子ファイリングすることが可能です。
FUJIFILM
富士ゼロックスは取り扱っているクラウド連携のサービスが4種類あり、その他にもドキュメント有効活用や、文書管理、ログ管理などのクラウドサービスがあります。
- Cloud Service Hub
利便性と安全性を両立し、スキャン・保存、検索・プリントのシームレスなワークフローにより、クラウド上の業務運用をよりスムーズにし快適な接続を実現します。シングルサインオン、スキャン、文字認識・文字加工、プレビュー、横串検索、プリントなどができます。 - Smart Data Entry
ドキュメントの有効活用ができるクラウド対応の帳票業務プロセス改善ソフトウェアです。
OCRによる高精度な文字認識と、確信度を利用した効率的な入力作業により、申請・届出受付、調査・アンケートなどの入力から情報抽出、確認・訂正、データ出力まで、無駄なく効率的でシームレスな流れを実現しました。 - Working Folder
セキュアで大容量の法人向けクラウドストレージサービスです。社内外のドキュメント管理が最適な環境になります。 - Device Log Service
Device Log Serviceは、機器の使用状況を、Webブラウザを使って集計・参照できるサービスです。集計結果は、表やグラフで見やすく色分けされ、出力も可能。対象機器やユーザーIDを絞り込んで集計できるので、個人や部門ごとに費用を管理できます。
※富士ゼロックス株式会社は2021年4月1日付けで「富士フイルムビジネスイノベーション株式会社」へ社名を変更しました。本カタログ/サイトは富士ゼロックスブランドの商品を含みます。富士ゼロックスブランドの商品は、米国ゼロックス社からライセンスを受けている商品です。商品提供者は富士フイルムビジネスイノベーション株式会社です。
This catalog or website includes Fuji Xerox product(s). licensed from Xerox Corporation. The distributor of the product(s) is FUJIFILM Business Innovation Corp.
SHARP
シャープでは、Data Cabinet Onlineというクラウドサービスを取り扱っています。Data Cabinet Onlineは社内の紙資料を電子化し、統合管理することで、場所・時間・部門の垣根を越えてデータ共有を円滑にすることができるだけでなく、過去データの有効活用が期待でき、業務の効率を大幅に向上させることができます。
- Data Cabinet Online
企業内で手軽に文書共有できるクラウド型ストレージサービスです。SHARPの複合機でスキャンしたデータをそのままクラウド上のストレージに収納できる他、PCで作成したビジネス文書、スマートフォンで撮影した現場写真など、さまざまなデバイスで作成したデータをクラウド上で共有でき、閲覧することができます。 - FullWEB
電子データの整理・管理をします。Webブラウザを用いての、簡単登録分類・簡単検索が可能な他、ワークフローによる承認機能も備えています。指定のファイルや「よく使う検索」として登録された検索対象ファイルをクラウドのData Cabinet Onlineへ自動でアップロードできますので、外出先でも活用できます。
KYOCERA
京セラではBoxを利用して複合機とクラウドサービスを連携しています。Boxは容量無制限のセキュアな企業向けのクラウドストレージサービスになります。
<Box>
- 複合機の操作パネルから直接Boxにログイン可能。PCを使わず、複合機操作のみでスキャンデータを直接Box上の指定フォルダへ保存可能です。
- 保存形式もPDFをはじめ、JPEGやTIFFにも対応。Box上のデータを複合機から直接印刷可能であり、(対応形式:PDF/XPS/JPEG/TIFF)サムネイルを操作パネルで確認してから印刷もできます。
- モバイル対応もしており、あらゆる場所からデータにアクセスが可能です。また、モバイルから120以上の形式のファイルをプレビューできます。
OKI
沖データが取り扱っているソフトウェアはAlidata社が提供するSENDYS ExplorerとABBYY社が提供するABBYY FineReader Sprintです。SENDYS Explorerは文書管理、ABBYY FineReader SprintはOCRソフトウェアになります。
- SENDYS Explorer
紙文書をカラーLED複合機からスキャンし、SENDYS Explorerにアップロードできます。(ファイル形式:PDF/PDF-A/PNG/TIFF/JPEG)スキャン時に、SENDYS ExplorerのOCR機能・文書変換機能を使用すれば、検索可能なPDFやWord/Excelに変換できます。SENDYS Explorerにアップロードした文書は、カラーLED複合機/PC/スマートフォンから閲覧し、印刷することができます。 - ABBYY FineReader Sprint
ABBYY FineReader Sprintから、カラーLED複合機にスキャン指示をすれば、OCR機能により紙文書を様々なファイル形式に変換できます。また、既成のPDFファイルや画像ファイルも、ABBYY FineReader Sprintにて同様に変換が可能です。
EPSON
エプソンはEpson Connectの機能によりクラウドが利用できます。Epson ConnectはPCはもちろんスマートフォンやタブレット端末を使いこなし、自宅やオフィス、仕事先、旅先で活用できるモバイルクラウドサービスになります。
<Epson Connect>
- スマホやタブレットがあれば出張先のプリンターで、資料の印刷やスキャンができるので効率が上がります。Epson iPrintを使えば外出先から会社など、離れたところからの印刷も可能です。
- 拠点など離れた場所へ遠隔印刷できます。メールに添付して送信するだけで、プリンターへ印刷が可能です。自席のPCから、メールアドレスを持つネットワークプリンターにメールを送るだけで、ファックスのように紙で知らせることができます。
- 拠点から原稿をスキャンして本社のプリンターへ印刷ができます。例えば、捺印入りの申請書をスキャンして、そのまま本社にあるプリンターへ直接印刷可能。リモートコピーとして、ファックスのように利用できます。
キヤノンや富士フイルム、沖データのクラウドサービスのOCRという機能は業務を行う上でかなり便利だと思います。日本語にはひらがな・カタカナ・漢字と3種類の形式があり、世界的にも特に複雑とされています。書類から複雑な日本語を正確に読み取り、パソコンで編集のできるフォーマットに変換してくれる訳です。
デジタル化が発達し、全ての書類が電子化している現在において、紙を印刷する複合機は必要がなくなって来るのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、複合機こそペーパーレス化につながる機能を持ち、今後その機能を発揮していくことでしょう。