複合機を利用しているとき、この複合機の中はどういう構造になっているのだろうと、ふと思いました。PCでのクリックとボタンの一つで、データ上に存在していたものが紙に転写してリアルの世界に出てくる…よくよく考えると、人間の技術の進歩とはすごいものだと感じました。
複合機ならではの要素、コピー・スキャン・ファックスの構造と仕組みをご紹介いたします。
コピー
メーカーや種類により構造が違うこともありますが、レーザープリンター、オフィス向け複合機、プロダクション機などは、だいたい同じ原理でプリントが行われています。コピーのプリントプロセスは帯電、露光、現像、転写、定着の5つの工程に分かれています。
感光体ユニット表面にマイナスの静電気を帯びさせます。
❷露光
光で感光体ユニットに画像を描きます。レーザー光の照射部分は静電気がなくなります。
❸現像
トナーを感光体ユニットに近づけると、静電気のない部分にだけトナーが付着します。
❹転写
感光体ユニットを用紙に密着させ、用紙裏側からプラス電荷を加えてトナーを用紙に移します。
❺定着
トナーが転写された用紙に熱と圧力を加えて、トナーを用紙に密着させます。
カラー複合機ではCyan、Magenta、Yellow、Blackの4色に分解された4つのイメージ(印刷画像)をそれぞれ異なる感光体ユニットに露光し、現像します。こうして現像された4色の像をいったん一次転写し、それを紙に一括転写します。最後にトナーを紙に定着させることで、印刷が完成します。
自分が思っていたよりもややこしい構造ではなく、紙はまっすぐに進んでいくことが分かりました。ちなみに、トナーの順番ですが昔はYMCKと呼ばれていました。その後厚みや乾きやすさなどの特徴を考慮し運用を経てCMYKになったそうです。
スキャン
原稿を読み取るスキャナーには、「CCDセンサー方式」と「CIS方式(※)」があります。
・CCDセンサー方式
光源は白色LEDを利用します。LEDの点光源を線光源にして原稿の下から当て、1ラインずつ読み取っていきます。射光をミラーに反射・集約させてから、数枚のレンズを介して送られた光を読み取り、データに変換します。
・CIS方式
光源にRGB3原色のLEDを利用します。原稿に当てた光が反射した結果をそのまま読み取り、データに変換します。原稿に密着して読み込むため「コンタクトイメージセンサー」方式といいます。光が進む経路の距離を確保する必要がないので、機構は比較的コンパクトに作ることができます。
※…Contact Image Sensor:コンタクトイメージセンサー
CCDセンサー方式よりもCIS方式の方が簡単な構造をしていると、図を作成していて感じました。構造もシンプルであり、コンパクトに収まるならCIS方式の方が良いのではないかと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、CIS方式は被写界深度が浅いので、凹凸の差が大きい原稿や、ガラス面から離れた原稿などは鮮明に読み取れないことがあるようです。また、CCDセンサー方式は被写界深度が深いので、凹凸の差が大きい原稿やガラス面から離れている原稿でも鮮明に読み取ることができるそうです。
FAX
ファックスの文字は、マイクロスコープやポケット顕微鏡などでよく見ると小さな点の集合で構成されています。そしてその文字は紙に書いてある文字や絵をすべて点の集まりに置き換えています。
ファックスが原稿を読み取る際、光を原稿に照射します。光を当てて、光が反射したところは「白」、光が反射しないところは「黒」と判断していきます。これを0と1の二進数による電気信号に変換します。画像の内容を、例えば、「01000101011」の電気信号として電話回線で送るのです。
電気信号の情報を受けとった相手のファックスは、届いた電話信号の情報の通りに黒い点を描写し、たくさんの点々が集まって、字や絵に見えているのです。ファックスをする前は送る相手の電話番号、ファックス送信表の確認、ファックスをした後は、原稿台の上の原稿の回収と送信済みかの確認を忘れないようにしましょう。
改めて複合機の主な機能を振り返りましたが、こんなにも複雑なことや、計算をあの箱の中で行っているため、複合機というものは精密機器だと感じました。この主な機能の他にもたくさんの細かい機能が備わっている機械が複合機です。複合機の紙が詰まったり、インキが滲んでしまったとしても、優しく取り扱いましょう…!