事務機器ねっとブログでは、ショールーム訪問の都度ご紹介しているプロダクションプリンター。キヤノンのショールームでもimagePRESS C165をご紹介しました。プロダクションプリンターと関わる機会は滅多にないかもしれませんが、実はその市場は高まってきています。
今回はimagePRESS Vシリーズとしてデザインを一新した最新のプロダクションプリンターを、市場の動向と合わせてご紹介します。
<目次>
・プロダクションプリンターの市場
・imagePRESS V1000
・新開発の定着システムが登場! 紙圧に応じる柔軟性
・安定した色味を保持、リアルタイムでの補正も可能
・リモート管理アプリとの連携、設定と検品の自動化で効率よく稼働
・仕様
プロダクションプリンターの市場
プロダクションプリンターの市場規模は、年々増しています。2020年から2027年に5.3%のCAGR(年平均成長率)で成長する見通しです。(※)
世界的な企業の広告ニーズに併せて、費用対効果が高く効率的な商用プリンターの採用が伸びています。プロモーションなどに企業が伝えたいことを訴求したマーケティングメッセージを含めることは、印刷の需要を増やしています。これにより、プロダクションプリンター業界は躍進しているのです。
また、パンフレットやチラシ、名刺などを取り扱う商業印刷は、インターネットでの受注やそれによって多様化する顧客が求めるものに合わせなければいけません。近年の顧客は、少量多品種化や短期スケジュールでの納品が求められています。この需要に応えられる新機種が「imagePRESS V1000」です。新開発の定着システムと幅広い用紙対応で、顧客の需要を満たします。
※参考:株式会社グローバルインフォメーション プロダクションプリンターの世界市場
imagePRESS V1000
新開発の定着システムが登場! 紙圧に応じる柔軟性
新開発の定着システムである新定着機構(POD-SURF)は、ローラーを回っている定着ベルトの熱が用紙に吸収されても、加熱ローラーが即座に温め直して定着ベルトの温度を一定に保つことで100枚/分の高速出力を実現しています。
また、定着ベルトの中にあるパッドと、加圧ローラーによって作られる定着ニップにより、用紙とベルトの接触面積が大きくなります。これにより、通常多くの熱が必要な厚紙にも効率よく熱を伝えることができます。
また、紙の厚さによって、転写内のローラー(二転内ローラーと二転外ローラー)とバックアップシートの位置を最適に変更することが可能になりました。厚紙モードだと、後端跳ねによって画像不良が起きないようにバックアップシートで搬送をなめらかにします。薄紙は、静電気による貼り付きを防ぐために搬送される部分の角度を高くしています。厚紙から薄紙、凹凸のある紙まで、どのような紙でも美しい印刷が可能です。
安定した色味を保持、リアルタイムでの補正も可能
プロダクションプリンターの本体内に冷却ユニットを標準搭載しています。色を定着する際に、高温になった用紙を上下のベルトで挟み、冷却することで約25%の熱を低減します。
排紙時に貼りついてしまったり、反ってしまったりする用紙が増えることを防ぎ、断裁や製本などの加工がよりスムーズになりました。
また、PC上の画像と印刷した際の画像の再現度の違いを解決する「Multi-D.A.T」を搭載しています。Multi-D.A.Tは、転写ベルト上に配置されたCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)の濃度(紙間パッチ濃度)を計測し、理想としている色との補正を行います。各色5階調のパッチを採用しているため、低濃度から高濃度まで、あらゆる濃度の補正を行うことができ、安定した色味の再現が可能になりました。
印刷物の色味とレジをリアルタイムで補正することができます。このリアルタイム補正はセンシングユニットというオプションで、ズレが気になる時や正確なプリントが必要な時にとても役立ちます。これらの補正は、調整の手間をかけずに連続出力しても安定して印刷が可能です。
リモート管理アプリとの連携、設定と検品の自動化で効率よく稼働
リモート印刷管理アプリ「PRISMAsync Remote Manager」で、プロダクションプリンターが近くになくても稼働状況や用紙やトナーの残量をリアルタイムで確認できます。
このアプリは2022年9月に対応予定で、印刷業者の業務を効率化することができます。
プロダクションプリンターを扱う印刷オペレーターは時間の拘束が多く、課題とされていました。例えば、1日に複数回行う校正や調整、用紙の切り替え時に発生する設定作業です。また、手動での調整や、設定作業は印刷オペレーターによってバラつきが発生します。
しかし「imagePRESS V1000」では、画像調整作業の簡略化や用紙最適設定の自動化により、印刷オペレーターは短時間で効率良く作業を進めることが可能です。それによって生まれた時間を、印刷後工程作業やプリプレス作業(印刷前工程作業)などに割けるようになるため、さらなる効率化が期待できます。
仕様
名称 | imagePRESS V1000 |
形式 | コンソールタイプ |
カラー対応 | フルカラー |
読み取り解像度/書き込み解像度 | 600dpi×600dpi/2,400dpi×2,400dpi |
階調 | 256階調 |
複写原稿(※1) | 最大A3サイズまで:シート、ブック原稿、立体(約3㎏まで) |
対応用紙サイズ | 330mm×483mm、320mm×450mm(SRA3)、305mm×457mm、A3、B4、A4、A4R、B5、B5R、A5R、郵便はがき、郵便往復はがき、郵便4面はがき(※2)、ユーザー設定サイズ(100mm×148mm(※3)~330.2mm×487.7mm、210.0mm×487.8mm~330.2mm×1,300mm(※4))、封筒(※2.5.6) |
ウォームアップタイム | 360秒以下(室温20°) |
ファーストコピータイム (室温20℃〜30℃) |
カラー:16秒以下 モノクロ:16秒以下 |
大きさ/質量(ADF含む) | 1,583mm(幅)×872mm(奥行)×1,185mm(高さ)/約410Kg |
※1:コピー機能はオプションです。※2:紙の種類により使用できないことがあります。※3:オプション装着時は、最小通紙可能サイズが異なります。(大容量スタッカー・J1:140mm×182mm、インスペクションユニット・B1:182mm×182mm)※4:487.7mm超の長尺紙をご使用の場合は、別途オプションが必要です。※5:使用できる封筒の種類は次に当てはまります。(定形:長形3号、洋形長3号、角形2号、COM10 No.10、ISO-C5、DL、Monarch、不定形:6×9インチ、9×12インチ、10×13インチ)※6:次の封筒は、本体カセットで封筒搬送キット・F1なしで使用できます。角形2号、ISO-C5、9×12インチ、10×13インチ