ビジネスの世界では、「もっとサステナビリティを押し出していかなければいけない」という言葉をよく耳にします。現在の各複合機メーカーでは、製造する各工場にてサステナビリティに取り組んでいるそうです。サステナビリティという言葉をよく耳にしても、あまり詳しいことは分からないという方も多いのではないでしょうか。 今回はサステナビリティと結びついている工場についてご紹介いたします。
<目次>
・サステナビリティとは
・各社メーカーの工場紹介
・SHARP
・Canon
・FUJIFILM
サステナビリティとは
サステナビリティ(sustainability)とは、直訳すると「持続可能性」という意味です。メーカーや企業は、利益を求めるだけではなく、企業と環境、社会との関係が見直されるようになり、企業活動としてサステナビリティに取り組む企業が増えています。元々は水産業界で使用されていた言葉で、水産資源を減らさずに、漁獲量を持続させることを目的とした意味で使用されていました。現在SDGs(持続可能な開発目標)など、国連や日本が積極的に取り組んでいる目標と同じく、世間は企業に対して社会全体を考慮した動きを求めており、実践しているかによって企業の価値やブランディング、お客様からの見方が決まります。サステナビリティへの取り組みは、今後多くの企業にとって欠かせないポイントとなるでしょう。
各社メーカーの工場紹介
Canon
キヤノンの複合機工場(エコテクノパーク)は、高度な資源循環を実現するキヤノンの環境活動を発信する拠点として2018年に建てられました。茨城県坂東市の自然に囲まれた広い土地に建つエコテクノパークは、複合機やトナーカートリッジ、インクカートリッジなど、キヤノンの使用済みの製品を、リユースやリサイクルを行う最新の工場となっています。環境へのエコな取り組みを楽しく学ぶことが可能な体験型ショールームもあります。エコテクノパークの建物自体も、省エネルギーや環境負荷に配慮した設計がされており、エコテクノパーク内に植えられた緑が美しく優しい環境を作っています。「クリーン&サイレント」をコンセプトに自動リサイクルシステムを導入し、稼働しています。夏季期間は遮熱、冬季期間は集熱を利用した空調システムを導入しています。
オフィス向け複合機の再利用
リマニュファクチュアリングとは、回収した使用済み製品を再生することです。回収した製品を部品レベルまで分解し、劣化や摩耗した部品を省きます。部品は定められた基準になるまで、最適な技術で綺麗にし、ネジ1本まで徹底的に再利用します。このように新しい部品のみで作られた製品と同レベルの品質でRefreshedシリーズとして出荷しているのです。
トナーカートリッジの再利用
使用済みのトナーカートリッジは、部品や材料ごとに分けられ、品質の良い再生プラスチックを加工するまでの全ての工程が自動で行われます。このプラスチックはキヤノンの生産工場に送られ、クローズドループリサイクルが行われています。そしてトナーカートリッジの原材料として繰り返し使用されるのです。
インクカートリッジの再利用
回収されたインクジェットプリンターの使用済みインクカートリッジは、自動化されたリサイクル方法で解体、粉砕、洗浄の工程を経て細かなリサイクル用のプラスチックに変化します。その加工されたプラスチックはキヤノンの複合機生産工場に送られ、再びインクカートリッジの部品に利用されるのです。
このエコテクノパークは工場見学も実施しています。一般の方、学生の見学、小学生の環境授業やオンライン環境授業などがあり、見学コースは環境紹介、ショールーム見学、工場見学などがあります。そこでは、キヤノンの最新のリサイクル技術や環境問題について学ぶことが可能です。現在は新型コロナウイルスの影響により、工場見学を一時中止している可能性もありますので、エコテクノパークの公式HPをご覧ください。
SHARP
シャープの奈良工場は奈良県大和郡山市に位置し、その周辺には世界文化遺産にも登録されている寺社や文化遺産が建っています。奈良工場では、複合機(サプライ製品含む)、インフォメーションディスプレイ、光触媒などの開発や製造をしています。また、シャープは中国・江蘇省常熟経済開発区の事務機器生産会社内に、新たに建設した第2工場を稼働しています。そこでは、複合機の生産を強化しており、 シャープは事務機器生産事業を始めてから、世界の市場で拡大しています。現在の複合機の生産は、日本、中国、フランス、タイの4カ国で行っています。その中でも中国の事務機器生産会社は、世界市場全体の中でも中心的な役割になります。
外気処理空調機合理化による省エネ
奈良工場内の事務エリアでは、エアコンによる温度調節の他に、外気処理空調機により室内の空気を入れ替える換気を行なっています。換気のために外の空気をそのまま取り込んでしまうと、埃の侵入などがあるため、室内の快適な環境が害されますが、それを防ぐための外気処理空調機によって、事務エリア内に送風する手前でフィルターによる埃の除去と温度調節を実施しています。設備の老朽化に伴い、今まで2つのフロアに対して2台の外気処理空調機を運転していましたが、1台に変更し省エネを心がけているようです。
環境に配慮した商品づくり
シャープでは、「省エネ・創エネ」「省資源」「リサイクル配慮」「安全使用・処理」「グリーンマテリアルの使用」「電池等の環境配慮」「見える化」の7つのコンセプトをもとに、環境に配慮した商品(グリーンプロダクト)を製造しています。中でも、特に省エネ・創エネ性能が優れた商品を「スーパーグリーンプロダクト」と名づけており、シャープのお客様の考えに沿った、環境への配慮がされている商品の開発に取り組んでいるのです。
FUJIFILM
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社には、横浜みなとみらい事業所、海老名事業所、松竹事業所、鈴鹿事業所、富山事業所、富士フイルムマニュファクチャリング株式会社があります。横浜みなとみらい事業所では、お客様との接点強化による市場ニーズへの迅速な対応を目指した、各機能の連携強化や商品開発、研究・開発のコストの効率化を図っています。海老名事業所では、複合機、プロダクションプリンター、関連商品の 開発。鈴鹿事業所は複合機やプリンターの基幹部分を製造、富山事業所は複合機やプリンターのトナーを製造しています。松竹事業所は、複合機、プリンター等の画像形成材料の開発製造拠点。富士フイルムマニュファクチャリング株式会社はゼログラフィー製品や事務用機械器具、印刷機器などを製造、開発、試作及び販売をしています。
ヨコハマ温暖化対策賞を受賞
横浜みなとみらい事業所のCO2削減の取り組みが、第7回ヨコハマ温暖化対策賞を受賞しました。この賞は、大幅な温室効果ガス排出削減などの実績をあげた企業に対して、横浜市が表彰するものになります。横浜みなとみらい事業所は、実験室などの空調の設定温度・夜間運転時間の見直しや蛍光灯照明のLED化を実現しました。この取り組みにより、電気・水などの使用量の削減が、合計で536トン、約4%のCO2排出削減を達成したのです。それに伴い、富士フイルムグループ全体で提供する商品全体の生産工程におけるCO2削減への取り組みや、省エネが施されている複合機の商品化など、企業独自の目標を定めて企業全体でCO2削減に貢献していることも表彰されたのです。
資源循環システム
富士フイルムは「使用済み商品は廃棄物でなく、貴重な資源である」との考えから、商品の生産工程全体で環境に優しい資源循環システムを国内だけでなく中国などのアジアにも拡大しています。そして使用済み商品に対する企業の社会的な責任を果たすために、クローズドループの資源循環型生産を行っているのです。クローズドループシステムは使用済み商品の部品を再利用し、商品を組み立て、検査までの流れを完璧に整えた工程を構築し、お客様のご要望に応じた省エネ製品の生産をしています。
今回は各社メーカーのサステナビリティの取り組みについてご紹介いたしました。メーカー各社の工場では、いかに省エネの対策をして製造しているか分かり、再利用で新しい複合機の一部にするなど各社メーカーのエコな取り組みが見えました。エアコンの温度調節や、夜間の使用制限といった、私たちにもできることはたくさんあります。SDGsの達成実現のためにも、少しずつ気づいた時に取り組めると良いですよね。
コピーの際に入力する数字を間違えてしまい大量の印刷をしてしまったという経験や、配布しようとしていたパンフレットの在庫が余ってしまい大量に残ったという経験はございませんか? そのような際に発生する、間違えてしまった紙や大量に残った紙は両面印刷でない場合、裏紙をメモとして利用している方もいらっしゃるかと...
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