私たち人間が感じ取れる地震(震度1以上の有感地震)は、日本で1年間に1,000回〜2,000回程度発生しています。この回数を平均すると、1日に3〜6回の地震が起きているということになります。
このように私たちの生活は地震と密接しているため、オフィスの備蓄や家庭での耐震補強は既に対策済みかと思います。
しかし、コピー機(以下、複合機)の地震対策を見逃してはいませんか? 大きくどっしりと安定感のある複合機は、重いから動かない、倒れないと思ってはいないでしょうか?
今回は、いざという時のために、とても重要な複合機の地震対策についてご紹介します。
<目次>
・地震時における複合機の危険性
・複合機の具体的な地震対策
・付属しているアジャスターで足を固定 ・ストッパーで頑丈に固定、着脱式で利便性大 ・固定バンドで床と完全固定、最強の耐震性
・保険適用される契約とは
地震時における複合機の危険性
まずは、地震時の複合機の危険性についてご説明します。
複合機が設置されているのを見て、不安定だと感じる方は少ないでしょう。複合機を触ってもガタガタと揺れませんし、筐体がアンバランスでもないため、まさか倒れるとは想像しづらいと思います。
しかし、普段はどしっと動かない複合機も、強い揺れの地震の場合は人や物に被害を及ぼす可能性があります。
複合機の重さは、本体の大きさやオプションの違いにもよりますが大体50kg〜150kgほどです。地震の揺れにより大人2人分程度に相当する重量物が人にぶつかったら大怪我をしてしまいます。
また、地震時の複合機は揺れて倒れる可能性も大いにあります。
例えば、小さなオフィスに設置してある複合機が横倒しになり、通路を塞ぎ避難経路が通れなくなってしまうかもしれません。揺れで物が散乱している中、再び避難経路を確保するために倒れた複合機を動かすことは困難でしょう。
さらに複合機が倒れて破損した場合、漏電する可能性があります。
人体は20mA程度の電気が流れると、筋肉が収縮・痙攣が起き、自由に動けなくなります。
複合機はその1,000倍である約20A程度の電気が流れているため、漏電をすると大変危険なことが分かりますね。
このように、複合機の地震対策をすることは非常に重要です。
震度1〜3程度の地震ならともかく、大きな地震では危険度が大きく上がります。
今後日本で20年以内に起きると言われている大きな地震は2つもあります。1つは、南海トラフ巨大地震、もう1つは首都直下地震です。
いつ起きてもおかしくない大地震に、今すぐ対策をしていきましょう。
複合機の具体的な地震対策
では、具体的にどのような地震対策をとれば良いのか。複合機が動かないよう固定する方法を、3つご紹介します。(メーカーによって固有名称は異なります。)
複合機に備え付けてあるアジャスターは滑り止めでもあるので必ず固定しましょう。このとき全ての箇所を床面に接するまで、ロック方向に固定する必要があります。
元々複合機についている装備のため、追加のコストはかからず手軽に固定が可能です。
ただし耐震性はほぼなく、大きい揺れがきた場合は、容易に複合機は転倒してしまいます。
また複合機を設置している床がカーペットの場合、アジャスターを下げておくとカーペットに食い込んでしまうため、転倒のリスクが高くなります。
複合機を動かすキャスターの部分にストッパーという器具をつけましょう。
地震の揺れによりキャスターが斜面に乗り上げると、ゴムブロック底面と床の間に摩擦力が発生し、適度なブレーキがかかって複合機の移動を抑止します。工具や接着テープは必要なく着脱可能です。
キャスター部分に取り付けるため、外観を損ないません。店舗内のインテリアを気にする場所にはオススメです。
オフィスの床は大まかに分けて、ふかふかしている布タイプ(カーペットやマット)と固いタイプ(プラスチックやコンクリート)があります。ストッパーの種類も、その2種類で分かれていることがあり、オフィスの環境によって使い分けることが可能です。
壁や床にワイヤーや板金(ばんきん)・耐震マットをつけ複合機とオフィスを固定してしまう方法です。
耐震マットと板金を組み合わせた場合、震度7相当までの地震に対し、複合機の移動を防止します。(※)
地震対策として最も強固な方法ですが、メーカーによっては板金タイプと鎖を使用するタイプがあり、床(コンクリート)や壁に穴を開ける工事が必要なため、作業前にオフィスの所有者に確認しましょう。
また、高層ビルで起きる長周期地震動にも対応しています。長周期地震動とは、地震による通常の揺れとは異なり、約2〜20秒周期で揺れる振動のことをいいます。
長周期地震動は、高層建築物の固有振動数と一致しやすく、この振動に対して高層ビルは対策が取られていませんでした。従来耐震性が高いと言われてきた超高層ビルに対して、長周期地震動は破壊的ダメージをもたらすものと懸念されています。
※:キヤノン製品の場合:十勝波形(震度6相当)と神戸波形(震度7相当)で効果を確認。
保険適用される契約とは
地震で複合機が故障してしまった場合、リース契約の動産総合保険で補償を受けることはできません。
動産総合保険は火災や爆発・破裂・風水害などには対応していますが、地震には適用外とされています。
リース契約中に地震によって利用不可能な状態になっても、リース契約は解約できず機械の補償も受けられないため、使えなくなってしまった複合機の料金を支払い続けるということになります。補償内だと思っていた災害が範囲外の可能性は大いにありえます。いまのうちに補償内容を再確認しておくことが重要です!
保険でお支払いできる損害 | 保険でお支払いできない損害 |
火災・爆発・破裂・煙害・風水害・盗難 | 故意または重大な過失・故障・自然消耗・虫食い 原子力による損害・詐欺・横領・置き忘れ 紛失・地震・噴火・津波 |
地震はいつ起きるか分かりません。もしかしたらこの記事を読んでいる途中で発生するかも…。
複合機の地震対策をしていないと、転倒・漏電、さらには破損した機械の料金を払い続けなければいけないなど、さらに大きな被害を招く可能性があります。
この記事を参考に、あなたの身のまわりにある複合機が地震対策されているか、今一度確認してみてください!
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