キヤノンの技術展示会「Canon EXPO 2023」が10月19日から2日間、パシフィコ横浜で開催されました。
今回は「Future Focused.Always(未来の可能性を、ひろげ続けよう)」をテーマとした展示会の見どころから、キヤノンの最新技術に触れた感想製品・システムの詳細をレポートいたします!
・Canon EXPOとは
・Canon EXPOの規模に圧倒
・在宅勤務に特化した、コンパクト大容量インクの最新インクジェットプリンター
・新開発のマゼンタインクと利便性の高いフラットトップデザインの大判プリンター
・基本性能を強化したA3カラー複合機、環境への配慮と簡単セキュリティ設定が可能
・新しい働き方へアップデートするソリューションの広場
・意図した色を再現するカラーマネジメント
・あなたの感性から多彩なテイストのデザインを生成
Canon EXPOとは
Canon EXPOはキヤノン株式会社が主催する、同社の製品や技術、サービスを展示するプライベートショーです。2000年から定期的に開催されており、2023年はコロナ禍を経て8年ぶりに開催されました。キヤノンの各グループによる最新製品、それを支える技術、社会へ貢献するソリューションが展示されています。
プリンティンググループ | オフィス向けコピー機、レーザープリンター、インクジェットプリンター、大判プリンター、プロ用インクジェットプリンター |
イメージンググループ | ミラーレスカメラ、プロジェクター、ネットワークカメラ、業務用4Kディスプレイ、多目的カメラ |
メディカルグループ | X線CT診断装置、超音波診断装置、MRI装置、X線診断装置 |
インダストリアルグループ | コンポーネント、有機ELディスプレイ製造装置、フラットパネルディスプレイ露光装置 |
会場は右図のようにテーマごとに展示スペースが分かれています。
❶ コアコンピタンスの丘(製品展示)
プリンティンググループでは、家庭からオフィス、商業印刷までの多彩な製品が展示。その他、医療関連製品、映像関連製品、半導体露光装置などを紹介。
❷ ソリューションの広場(ユースシーン展示)
デザインを簡単に美しく印刷する、プリント商材制作アシストソリューションの紹介。キヤノンの4つのグループから生まれた製品やサービスが、実際の生活や社会でどのように役立つのかを紹介。
❸ ホリスティックの森(技術展示)
1本1本の木が集まって、森が作られるように、コアとなるイメージング技術と製品を生み出す技術が相互に組み合わさるホリスティック(つながり)な開発環境を紹介。
❹ シナジーの泉(新領域展示)
宇宙や先進医療の領域、キヤノンの多彩な技術を再編集したテクノロジーサンプルを紹介。大型望遠ミラーや光学描写コンポーネントなど、未来に向けた可能性を来場者の方に届けています。
Canon EXPOの規模に圧倒
10月19日AM9:50、みなとみらいに到着!パシフィコ横浜に向かいます。いざ入場すると、そこには大きなスクリーンが出迎えてくれました。やはり初日の朝一番の時間帯なので、かなり混み合っています。筆者は10:00頃に会場に着きましたが、実は開場前に待機列ができ、開場時間を早めるほどの盛況ぶりだったそうです。
順路に沿ってキヤノンカラーの赤い階段を上ると、会場全域を見渡せるコアコンピタンスの丘に到着しました。
キヤノンの最新技術が見られることに胸が膨らみますが、会場はかなり広いため余すことなく体験できるのか心配になりました(笑)。
事務機器ねっとは「プリンティンググループ」に絞ってレポートいたします!
在宅勤務に特化した、コンパクト大容量インクの最新インクジェットプリンター
コアコンピタンスの丘を降りるとプリンティンググループの展示フロアが広がります。
2023年10月3日に発売されたばかりの新製品のインクジェットプリンター、「GX2030」が出迎えてくれました。GX2030は、オフィスと同等の働き方を支援する在宅勤務に特化したプリンターです。在宅勤務が働き方のひとつへと変化し、自宅でもオフィスと同等の生産性を求められている中、特大容量タンク「GIGA TANK(ギガタンク)」を搭載し、ファックス機能が付いたコンパクトな仕様で使い勝手を向上させています。
居住空間を意識し、操作部をプリンター前面のフラットパネルにまとめたほか、インク充填、給紙、メンテナンスカートリッジ(別売り)の交換などの基本操作を全て前面側で行うことができるフロントオペレーションが可能。とてもコンパクトな作りなのに、プリント・コピー・ファックス・スキャンができる妥協しない機能性と、ギガタンクと言われる大容量インクも入れやすく設計されている利便性に感動しました。
新開発のマゼンタインクと利便性の高いフラットトップデザインの大判プリンター
2023年10月下旬に発売する大判プリンター「TM-355」も展示されておりました。
TM-355は新開発のマゼンタインクを搭載しています。印刷物の発色を濃く鮮やかに再現する新設計のカラーマッチング技術を採用したことにより、普通紙でも視認性の高いポスター作成が可能です。顧客の目を引くPOPや注意喚起するポスターなどに適しており、色褪せがしにくく長期間の掲示に耐えられる顔料インクを全色に採用しております。そして、天面をフラットにしたデザインにより、大判の印刷用紙(ロール紙)を置く作業スペースとして活用することができます。手間のかかるロール紙の交換を簡単にし、オフィスに馴染む設計です。
実際にTM-355で印刷した普通紙を見せていただきましたが、データと同じく深紅が表現されていると感じました。比較すると違いは明白ですね。色に深みが出るので、高級感のあるデザインが再現できるなぁと思いました。展示されているコピー機は、ラベルプリンター、大判プリンター、プロダクションプリンターが連なり、オフィス向けコピー機を見た時は、親近感があるのでなんだか安心してしまいました笑
基本性能を強化したA3カラー複合機、環境への配慮と簡単セキュリティ設定が可能
このEXPOで展示されていたオフィス向けコピー機は、imageRUNNER ADVANCE DX C3935です。こちらの機種は2023年8月に発売された機種になります。環境に配慮した業界トップクラスの低消費電力と、IT環境に最適なセキュリティー対応によりサイバー攻撃から防御してくれる最新機器です。低温定着トナーの採用により低消費電力を実現しました。また、印刷時に発生する回収トナーの量も削減します。具体的な特長としては、imageRUNNER ADVANCE DX C3935が作動している時の消費電力が前機種から約13%も低減していたり、印刷終了時に回収されるトナーの発生が少なく、同じ回収トナー容器で2倍の印刷が可能なのです。
そして簡単な操作でセキュリティの向上が可能になりました。例えば「おすすめセキュリティ設定」というセキュリティ設定方法があります。これは、操作パネル上から本体の使用環境を選択するだけで適切なセキュリティを自動で設定できる機能です。「セキュリティ」という言葉を聞いて、自分には設定が難しいと感じる方が多い中、選択操作だけで簡単に設定ができてしまうというのは画期的だと思いました! また、複数の認証を用いているので、コピー機へ侵入し情報漏洩をするというなりすましも防止可能です。
新しい働き方へアップデートするソリューションの広場
プリンティンググループの見学が終わり、赤い階段を登った先に見えた大きな樹、ホリスティックの森へ向かいました。遠くから見るよりもずっと大きく、このエキスポのシンボルとなっています。
向かった先はソリューションの広場。
ここでは、ポスターやチラシなどのプリント商材制作を支えるソリューションなどが紹介されていました。
意図した色を再現するカラーマネジメント
映像・印刷において重要な技術の1つとして色の管理があります。プリンターの機種や出力する用紙によって、表現できる色の範囲が異なるため、そのままの状態では、最終的な成果物の色合いは一致しません。デジタル印刷において、機器と機器の間で色を統一的に管理する重要な役割を担っているのがカラーマネジメント(色管理)です。キヤノンでは、研究開発部門において「人がどのように色を認知しているか」を長年研究し、人が感じる色や階調(濃淡)などを数値で表現する「色のものさし」を作りました。その開発された技術が、SCM(スーパーカラーマネジメント技術)なのです。SCMの開発を進めることで、「人の目で見たときに感じる色」の再現を追及しています。
SCMでは、独自のアルゴリズムにもとづき、印刷したい色が広く、仮にプリンターで表現できる色域を超えている場合でも、人の目で見た時の印象に近づけるような色に割り当てる「マッピング処理」を開発しました。
さらに画像に応じて、色を「動的」にマッピング処理することにより、人の目にとって最も印象が近づいて見える効果を実現しているのです。
これは長年の問題点を変える、革新的なシステムですよね!
筆者もチラシなどのデザインを制作するのですが、データと印刷した仕上がりや、異なるコピー機で印刷した時など、表現される色が合わずに苦戦していました。自分が表現したい色はこれではないのに…と思うことが多々あったので、このシステムにとても期待しています!
あなたの感性から多彩なテイストのデザインを生成
デザインから感じる印象は、個人の感性によって多種多様な印象ワードで表現されていました。例えば、「かわいい」「綺麗」「レトロ」「スタイリッシュ」など。キヤノンが開発中のCAG(Collateral Auto Generator)では、印象評価によって大きく異なる印象を持つデザインを提案することが可能なのです。CAGがもつ印象評価AIは、人がデザインを見たときに受ける印象を数値で表す「印象数値空間」を実現しました。これにより、印象値のパラメーターを変えることで多彩なデザインバリエーションを生み出すことができます。
さらに、あなたが選んだデザインから同じような印象をもつデザインを複数生成できます。
CAGを使うことで、頭の中のイメージにより近いデザインを見つけることが可能になりました。
このシステムは、デザインを普段しない方向けと説明員の方に伺いましたが、普段デザインをされる方にもおすすめできるかと思います。デザイン案に煮詰まった時、イメージや構図などを参考にでき、アイデアの広がりに繋がるでしょう!
また、このCAGはデザイナーがより創造性を発揮できる機能も持っています。例えば、デザイナーが作成した1枚のポスターのデザインを抽出し、異なるメディアごとに印象の統一されたデザインを展開してくれるのです。吊バナーやチラシ、Tシャツ、長尺POP、チケットなどなど。デザイナーは今まで以上にクリエイティブな作業に注力できますね。
プリンティングにフォーカスしたCanonEXPOの体験レポートとなりましたが、プリンティング以外にも、イメージング、メディカル、インダストリアルなど、様々な分野において新しく幅広い技術が生み出されていることを実感しました。
開発する力、生産する力、販売する力を進化させ、未来へ続くイノベーションを起こすキヤノン。
キヤノンの製品や技術を使うことで、私たちの仕事での進化や、生活においてより豊かな変化が生まれるでしょう。コピー機を使った在宅ワーク、メンテナンスマンのDX化によりお客様への対応が早くなる、デザインをされるお客様が重宝するシステムなど、今後進化する技術を利用することで、生産性が上がり表現力の幅が広がる未来に期待が膨らみますね!
CanonEXPOはオンラインでも開催中です。期間は2023年10月18日(水)〜12月26日(火)まで公開しておりますので、ぜひご覧ください!
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