公開日 2025.07.18 更新日 2025.07.18

コピー機(複合機)で使用するインクとトナーの違いは?インクの種類や特徴を解説

コピー機(複合機)を導入する際には、目的に合った製品を選ぶことが重要です。インク式とトナー式では特徴が異なるため、印刷物の種類にも向き不向きがあります。

 

本記事では、インクとトナーの違いや印刷目的別の選び方、純正インクと互換インクの違いなどを、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに詳しく解説します。

 

コピー機(複合機)で使用するインクとトナーの違い

コピー機や複合機を導入する際、まず理解しておきたいのが「インク」と「トナー」の違いです。これらは印刷の方法が根本的に異なり、それぞれに違ったメリットとデメリットがあります。

 

そのため、適した印刷物にも違いがあり、事前に調べておくことが重要です。まずは、インクカートリッジとトナーカートリッジの特徴について紹介します。

 

【関連記事】レーザープリンターとインクジェットプリンターを徹底解説

 

インクカートリッジの特徴

インクカートリッジは、染料や顔料を主成分としたインクを使用します。このインクを微細なノズルから紙に噴射することで印刷を行うのが「インクジェット方式」です。インクジェット方式は、色の再現性に優れ、写真のような鮮やかな色表現が可能です。

 

また、プリンター本体のサイズが比較的小さく、導入コストも抑えられます。家庭用プリンターのほとんどがこの方式を採用しており、染料と顔料を使い分けた質の高い印刷が特徴です。

 

トナーカートリッジの特徴

トナーカートリッジは、ミクロサイズの粉末状にされたインクを用いています。レーザー光で画像を形成し、そこにトナーを付着させて静電気の力で紙に転写します。最後に熱と圧力でトナーを紙に定着させるのが「レーザー方式」です。

 

レーザー方式は、印刷速度が速く、大量印刷に適しています。また、文字の輪郭がシャープで、ビジネス文書の印刷に非常に優れています。一度に大量の印刷を行うオフィス環境で広く利用されていることが特徴です。

 

コピー機(複合機)のインクは主に2種類

インクジェット方式のコピー機や複合機で使われるインクには、主に「顔料インク」と「染料インク」の2種類があります。

 

顔料インクは耐水性・耐光性に優れ、文字がくっきりと印刷されるためビジネス文書や長期保存する書類に適しています。

 

一方、染料インクは色再現性が高く写真やイラストなどのカラー印刷に適していますが、耐水性に劣るため長期保存には不向きです。

 

用途に応じてインクを使い分けることで、より印刷品質の向上させる効果が期待できます。

 

純正インクと互換インクの違い

コピー機や複合機のインクを選ぶ際、純正品と互換品という選択肢に直面します。純正品はプリンターのメーカーが自社製品用に開発・製造したインクです。一方で互換品は、メーカーの異なる企業が開発・製造したインクで、安心性や価格が大きく異なります。

 

それぞれの特徴を理解し、ご自身の使い方や予算に合ったものを選びましょう。

 

純正インクの特徴

純正インクは、プリンターメーカーが自社の製品用に開発・製造しているインクです。プリンター本体との相性が最も良く、最高の印刷品質と安定した動作が保証されています。

 

発色性や耐光性といったインク本来の性能はもちろん、プリンターのヘッド詰まりや故障といったトラブルのリスクも最小限に抑えられます。

 

さらにメーカー保証が付いているため、万が一の際にも安心してサポートを受けられる点が大きなメリットです。価格は互換インクに比べて高価ですが、長期的な視点で見ればトラブルによる修理費用や印刷品質を保つことにつながります。

 

互換インクの特徴

互換インクは、純正メーカー以外の企業が開発・製造しているインクで、純正インクと同じように使用できるように作られています。互換インクの魅力は、純正インクよりも大幅に価格が安いことです。印刷コストをなるべく抑えたい場合に適しています。

 

品質はメーカーによって差がありますが、近年では高品質な互換インクも多く流通しています。しかし、互換インクを使用したことが原因で、ノズルの詰まりなどトラブルが起きてしまった場合、メーカー保証の対象外となってしまうことが大半です。

 

万が一故障してしまうと、修理費用で結局高くついてしまうおそれもあるため注意が必要です。

 

互換インクを選ぶ際の注意点

互換インクを選ぶ際には、メーカーや製品によって品質にばらつきがあるため、信頼できるメーカーの製品を見つけることが重要です。安すぎる互換インクは、印刷品質が劣ったり、プリンターの故障を引き起こしたりする可能性もゼロではありません。

 

互換インクの使用によってプリンターが故障した場合は、基本的にメーカー保証の対象外です。保証期間内であっても、保証の適用条件から外れてしまうため、実費で修理費を支払うことになります。

 

購入前に口コミを確認したり、販売店スタッフに相談したりするなど、慎重に検討することをおすすめします。

 

コピー機(複合機)の4色・6色インクの違い

インクジェット複合機の中には、4色インクモデルと6色インクモデルがあります。

 

4色インクモデルは黒以外の3色で色味を調整していますが、6色インクモデルは基本の3色に加え「ライトマゼンダ」や「ライトシアン」などのインクも追加されており、表現できる色味の幅が広がることが特徴です。

 

色味を表現するインクの種類の数の違いは、写真などの印刷物の仕上がりに大きく影響します。

 

4色インクの特徴

4色インクは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の基本4色で構成されています。一般的な文書印刷やWebページの印刷など、日常的な用途であれば4色インクで十分に高品質な印刷が可能です。

 

インクの種類が少ないため、インクカートリッジの交換頻度やコストを抑えられます。低コストで一般的な印刷に対応できるため、家庭用や小規模オフィスでの使用に適しています。

 

4色インクだと品質が劣るというわけではなく、普段使用する分には4色インクでも十分だといえるでしょう。

 

6色インクの特徴

基本的に6色インクは、4色インクの色味に加えて、ライトシアン、ライトマゼンタなどを追加した6色で構成されています。また、メーカーやモデルによっては染料と顔料のブラック、もしくはグレーを加えて6色にしているものもあります。

 

これらの追加色が加わることで、より微妙な色合いや滑らかなグラデーションの表現が可能です。

 

特に、写真印刷において、肌の質感や空の青さなど、細部の再現性に優れています。しかし、インクの種類が増えるため、インクカートリッジの交換頻度やコストは4色インクよりも高くなる傾向があり注意が必要です。

 

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インクとトナーのコスト比較

コピー機や複合機は、短いスパンで入れ替えるものではありません。そのため、導入時に重要視するポイントなどを明確にしておき、希望条件に合ったものを選ぶことが重要です。なかでも、インクとトナーの印刷コストは重要な比較ポイントの一つ。

 

コピー機や複合機を選ぶ際には、初期費用だけでなく、長期的な運用コストを考慮することが重要です。

 

1枚あたりの印刷コスト目安

モデルによって1枚あたりのコストは異なりますが、一般的には印刷枚数が少ない場合にはインクジェットの方が安く済みます。しかし、大量に印刷する場合には、レーザー方式の方が安くなる傾向があります。

 

特にカラー印刷の場合、インクジェットは2円程度ですが、レーザーだと1枚当たりの目安は10~30円程度です。家庭用タイプなど数枚の印刷であればインクジェットの方が適していますが、数十枚・数百枚と印刷する場合はレーザー方式がおすすめです。

 

印刷方式別の年間コストシミュレーション

例えば、月に1,000枚のカラー文書を印刷する場合を考えてみましょう。

 

  • インクジェット複合機(インク代1枚あたり2円と仮定): 2円/枚 × 1,000枚/月 =2,000円/月 2,000円/月 × 12ヶ月 = 24,000円/年
  • レーザー複合機(トナー代1枚あたり10円と仮定): 10円/枚 × 1,000枚/月 = 10,000円/月 10,000円/月 × 12ヶ月 = 120,000円/年

 

インクカートリッジの印刷できる枚数は数百枚程度と少ないですが、トナーカートリッジの場合は数千~数万枚程度の印刷が可能です。

 

そのため、印刷枚数が少ない場合はインクジェットが適していますが、大量印刷するとなるとレーザー方式の方が割安になるケースもあります。

 

 

コピー機(複合機)で使用するインクとトナーの選び方

インクとトナーそれぞれに長所・短所があり、どちらが自分に適しているかは、使用環境や重視するポイントによって異なります。満足なインク・トナーを選ぶには、導入コストや印刷コスト、仕上がりの品質など、自分が希望する条件を明確にしておくことが重要です。

 

ここからは、コピー機(複合機)で使用するインクとトナーの選び方について解説します。

 

導入コストを抑えたいならインクカートリッジ

プリンターや複合機の導入コストを抑えたいと考えているのであれば、インクジェット方式の複合機がおすすめです。インクジェット方式の複合機は、本体価格が比較的お求めになりやすいモデルが多く、家庭用プリンターに多く用いられていることからも分かるように、手軽に導入ができます。

 

モデルにもよりますが、レーザー方式の複合機は数十万円かかるのに対し、インクジェット方式の複合機は大体数万円で導入可能です。

 

写真印刷や少量の文章の印刷がメインであれば、インクジェット複合機が適しているでしょう。

 

印刷コスト・スピードを重視するならトナーカートリッジ

頻繁に多くの枚数を印刷したり、印刷スピードと1枚当たりのコストを重視したりする場合には、レーザー方式の複合機がおすすめです。レーザー方式は、一度に多くの枚数を高速で印刷できるため、業務効率の向上にも一役買ってくれます。

 

また、インクジェット方式に比べて1枚当たりの印刷コストが低いため、印刷枚数が多ければ多いほど長期的に見たコストパフォーマンスに優れています。

 

大量印刷を行う予定のある方や、ビジネス文書の印刷に利用したいと考えている方は、レーザー方式を選ぶと良いでしょう。

 

求められる仕上がりの品質は印刷用途によって異なる

インクとトナーのどちらを選ぶか、重要な見極めのポイントは、「どのような印刷物を、どれくらいの頻度で印刷するか」です。写真や高画質なカラー印刷をメインにするなら、色の再現性に優れたインクジェット複合機が適しています。

 

一方で、文字が中心のビジネス文書や大量の資料印刷が主な使用目的なら、高速印刷とシャープな文字品質が特徴のレーザー複合機が良いでしょう。

 

またモデルによっては、インクジェット方式とレーザー方式の両方の良い点を併せ持つ製品もあります。インクとトナー選びを失敗しないためには、自分のコピー機の使用用途を明確にして、それに合わせてインクとトナーを選び分けることが重要です。

 

 

まとめ

コピー機(複合機)で使用するインクとトナーは、それぞれ異なる印刷方式と特徴を持っています。インクジェット方式は液体インクを使用し、写真などの高画質なカラー印刷に適しており、本体の導入コストを抑えられることが魅力です。

 

一方、レーザー方式は粉末トナーを使用し、高速で大量の文書印刷に向いています。1枚あたりの印刷コストを抑えられることもポイントです。

 

純正インクと互換インクの違いや、4色・6色インクの特性も理解することで、ご自身の使用目的や予算に合った選択ができるでしょう。

 

本記事は、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに提供しています。複合機の選定・導入に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

 

この記事の監修者

株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー

大塚 義美

複合機メンテナンス許可認定

FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON

経歴

複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。

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