複合機の稟議を通す【社内で聞かれること・比較表の作り方】

「見積りは取ったが、社内で止まったまま動いていない」
「稟議書に何を書けば通るのか分からない」
「上に出したら『もっと安いところはないのか』と返ってきた」
機種を決めるところまでは進んだのに、社内の承認で止まってしまう。複合機の入れ替えでは、よくあることです。
結論から言うと、稟議で聞かれるのは①今と比べていくら変わるのか、②なぜ今なのか、③他社と比べたのか、の3点です。この3つに先に答えている資料であれば、差し戻しはほとんど起きません。
本記事では、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに、稟議で必ず聞かれることと、そこに答えるための比較表の作り方を整理します。
稟議で必ず聞かれる3つのこと
決裁する側は、複合機の型番やスペックを見ているわけではありません。見ているのは次の3点です。
今と比べていくら変わるのか
いちばん最初に聞かれます。新しい機械がどれだけ高性能かではなく、会社の支出がどう変わるかです。
「月額が2,000円下がります」でも「月額は1,500円上がりますが、印刷単価が下がるので総額では減ります」でも構いません。比較の形になっていることが要件です。
なぜ今なのか
支出を伴う判断には、必ずタイミングの説明が要ります。
「古くなったから」では弱く、「リース満了が◯月」「今年に入って修理が◯回」のように、動かせない事情があると通ります。
他社と比べたのか
1社だけの見積りを出すと、ほぼ確実に「他は見たのか」と返されます。
複数社を比べた形跡があることが重要で、必ずしも最安を選ぶ必要はありません。選ばなかった理由が書いてあれば、むしろ検討した証拠になります。
「いくら変わるのか」の書き方
月額だけを並べない
複合機の費用は、リース料金とカウンター料金に分かれています。月額のリース料金だけを比べると、判断を誤ります。
リース料金が安くてもカウンター単価が高ければ、印刷量が多い会社では総額が逆転します。費用の構成については複合機リース料金を構成する5つのコスト項目で整理しています。
5年総額で出す
複合機のリースは5年契約が標準です。判断する側が見たいのは、契約期間を通していくらかかるかです。
次の形にまとめると、そのまま稟議書に載せられます。
・リース料金:月額◯円 × 60か月 = ◯円
・カウンター料金:モノクロ◯枚 × ◯円 + カラー◯枚 × ◯円 = 月◯円 × 60か月 = ◯円
・5年総額:◯円
現行機も同じ形で出し、差額を明示してください。
現状の隠れた費用を拾う
今の機械で発生している費用のうち、リース料金の明細に載っていないものがあります。
・保守契約外の修理費(スポット保守の場合)
・トナーの購入費(保守契約に含まれていない場合)
・紙詰まりや故障で止まっている時間
3つ目は金額にしにくい項目ですが、「月に◯回止まっている」という回数であれば書けます。回数は決裁者に伝わります。
「なぜ今なのか」の書き方
リース満了が近い
最も通りやすい理由です。満了の3〜6か月前から検討を始めるのが一般的で、この時期であれば説明は「満了に伴う更新」で足ります。
ただし、満了後にそのまま再リースに入るのか、新しい機種に替えるのかで判断が分かれます。再リースは月額が大きく下がるため、そちらと比べた形にしておくと丁寧です。
故障が増えている
修理の記録が残っていれば、それをそのまま使えます。
「今年に入って4回、うち2回は半日以上使えなかった」という書き方であれば、買い替えの根拠として十分です。保守をお願いしている販売店に依頼すれば、修理履歴を出してもらえます。
業務側の要件が変わった
人が増えた、A3を使う業務が始まった、スキャンした書類を共有フォルダに置く運用に変えた。こうした変化は、機械を替える理由になります。
この場合は、変化した業務の内容を先に書き、そのうえで今の機械では対応できない点を挙げる順番にしてください。機械の話から入ると、必要性が伝わりにくくなります。
比較表の作り方
揃えるべき条件
複数社から見積りを取るときは、渡す条件を全社で同じにしてください。前提が違う見積りを並べても、比較にはなりません。
揃える項目は次の4つです。
・月間印刷枚数(モノクロ・カラーを分けて)
・用紙サイズ(A4中心か、A3をどのくらい使うか)
・必要な機能(FAX、ステープル、大容量給紙など)
・契約期間
取り方の詳細は複合機の相見積もりの取り方をご覧ください。
載せる項目
比較表には次を並べます。
・メーカー・機種名
・印刷速度(毎分◯枚)
・月額リース料金
・カウンター単価(モノクロ・カラー)
・5年総額
・保守の内容(駆けつけ時間、代替機の有無)
・標準で付いている機能/オプションになる機能
最後の項目が抜けがちです。同じ価格帯でも、FAXや給紙トレイが標準か追加かで、実際の支払いが変わります。
比較表の例
実際に並べると、次のような形になります。金額は考え方を示すための例です。
| 項目 | 現行機 | A社 | B社 |
|---|---|---|---|
| 印刷速度 | 毎分25枚 | 毎分30枚 | 毎分25枚 |
| 月額リース料金 | 14,000円 | 12,500円 | 11,000円 |
| モノクロ単価 | 1.8円 | 1.2円 | 1.8円 |
| カラー単価 | 15円 | 11円 | 15円 |
| 月間カウンター(モノクロ3,000枚/カラー500枚) | 12,900円 | 9,100円 | 12,900円 |
| 月額合計 | 26,900円 | 21,600円 | 23,900円 |
| 5年総額 | 1,614,000円 | 1,296,000円 | 1,434,000円 |
| 駆けつけ | 翌営業日 | 当日 | 翌営業日 |
| FAX | 標準 | 標準 | オプション(+◯円) |
この表であれば、B社のほうがリース料金は安いのに、5年総額ではA社が13万円以上安いことが一目で分かります。月額リース料金だけを見ていると、この逆転に気づけません。
リース料金の水準そのものが妥当かどうかは、複合機(コピー機)のリース料金相場とあわせてご確認ください。
載せないほうがよい項目
スペック表をそのまま貼り付けると、決裁者が読む気をなくします。解像度や対応OSは、判断に使われません。
判断に使う数字だけを残してください。項目が7つを超えると、表としては読みにくくなります。
稟議が止まる典型パターン
差し戻される資料には、共通した形があります。
新しい機械の説明しか書いていない
カタログの内容を要約した資料は、ほぼ差し戻されます。決裁者が知りたいのは機械の性能ではなく、支出の変化だからです。現行機との比較が1行もない資料は、比較検討をしていないと見なされます。
「安くなります」だけで数字がない
金額の根拠がないと、その場で確認が入ります。月額いくらが、いくらになるのか。印刷枚数がどれだけ増減したときにどう変わるのか。ここまで書いてあると質問が出ません。
最安の1社だけを持っていく
安いこと自体は理由になりますが、なぜ安いのかの説明が要ります。駆けつけが翌営業日なのか、代替機がないのか、FAXがオプションなのか。安さの中身を書かずに出すと、決裁者は判断できません。
リース満了日が書いていない
満了日が資料にないと、急ぐ理由が伝わりません。満了日と、そこから逆算した判断期限を先頭に書いてください。再リースという選択肢と比べる場合は、再リースは得か損かもあわせてご覧ください。
決裁者の立場で見ると何が引っかかるか
決裁する側が気にするのは、金額そのものよりも「後から追加費用が出ないか」です。
複合機のリースは、途中解約ができない契約が基本です。5年間、金額が固定される代わりに、やめたくなっても抜けられません。ここを理解したうえで判断したことが資料から読み取れると、承認は早くなります。
契約条項で見落としやすい点は複合機リース契約書の落とし穴で解説しています。稟議に出す前に、中途解約と自動更新の2点だけは確認しておいてください。
よくあるご質問
Q. 見積りは何社から取るべきですか
2〜3社が現実的です。1社では比較になりませんが、5社を超えると条件を揃える手間のほうが大きくなり、検討が長引きます。
Q. 最安の会社を選ばないと稟議は通りませんか
そうとは限りません。選ばなかった理由が書いてあれば問題ありません。「A社が最安だが駆けつけが翌営業日、B社は当日対応で年額◯円差」という書き方であれば、判断の根拠として成立します。
Q. 稟議書は何枚くらいが適切ですか
比較表を含めて2枚程度に収まるのが理想です。補足資料は別添にして、本文では3つの問い(いくら変わるか、なぜ今か、他社と比べたか)に答えることに絞ってください。
Q. 現行機の5年総額が分からない場合はどうすればよいですか
リース契約書に月額が記載されています。カウンター料金は、保守の請求書を数か月分並べれば平均が出ます。どちらも手元にない場合は、リース会社と保守をお願いしている販売店に問い合わせれば確認できます。
Q. 決裁が下りてから納品まではどのくらいかかりますか
機種と在庫の状況によりますが、リース審査と搬入の日程調整を含めて2週間から1か月程度を見ておくと安全です。リース満了日から逆算する場合は、この期間を差し引いて検討を始めてください。
社内資料づくりでお困りなら「事務機器ねっと」にご相談ください
事務機器ねっとは、複合機・コピー機のマルチベンダー販売店として20年目に入りました。8メーカーを取り扱っており、特定のメーカーに寄せた提案はいたしません。
お見積りの際は、5年総額と現行機との差額を並べた形でお出しできます。稟議に必要な項目をお伝えいただければ、その形に合わせて資料をご用意いたします。
お取引にあたっての体制
・ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)認証取得
・創業35年以上、サイト運営20年、総販売台数16,000台超
・8メーカー取扱いのマルチベンダー販売店
まとめ
複合機の稟議で聞かれるのは、次の3点です。
・今と比べていくら変わるのか(5年総額で、現行機と並べて)
・なぜ今なのか(リース満了、修理の回数、業務の変化)
・他社と比べたのか(条件を揃えた2〜3社の比較表)
機種のスペックを詳しく書いても、この3つに答えていなければ差し戻されます。逆に、この3つが埋まっていれば、資料は2枚で足ります。
見積りを取る前に、現行機の5年総額を出しておいてください。比較の起点がないまま新しい見積りだけを並べても、判断する側は動けません。
この記事の監修者
株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー
大塚 義美
複合機メンテナンス許可認定
FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON
経歴
複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。










事務機器ねっとは「コピー機・プリンターリース価格満足度 第1位」と「コピー機・プリンター販売サイト導入後のサポート満足度 第1位」の二冠を獲得しました。
第37号‐24020002
(適用範囲:HCグループ)
人数無制限・定額制の勤怠管理システム
現場がイキイキと自走するRPA導入支援
現場の声に応えるオーダーメイド型BPO