複合機のユーザー認証と部門管理【ICカード・暗証番号・部門別カウンタ】

「どの部署が何枚印刷しているのか、誰も把握していない」
「印刷コストを部門に配賦したいが、根拠になる数字が出せない」
「複合機の排紙トレイに、誰のものか分からない書類が残っている」
複合機を全社で共有していると、印刷は「会社の費用」としてまとめて処理され、誰がどれだけ使ったかは見えなくなります。
結論から言うと、この状態は①部門別カウンタで部署ごとの枚数を出す、②ユーザー認証で個人を特定する、③認証印刷で手元に来るまで出力しない、の3つで解消できます。多くの機種に標準で入っている機能で、追加の機器を買わずに始められることもあります。
本記事では、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに、部門管理と認証の仕組み、導入前に確認しておく点を整理します。
部門管理でできること
部署ごとの印刷枚数が出る
複合機には「部門別カウンタ」と呼ばれる機能があります。部門コードを登録しておくと、モノクロ・カラーそれぞれの枚数を部署単位で集計できます。
全社の合計だけを見ていると、印刷量が増えても原因が分かりません。部署別に出ると、どこで増えているかがその場で分かります。
集計結果は、管理者の画面から一覧で確認するか、レポートとして出力できます。
カラーの使用を部署単位で制限できる
部門ごとに、カラー印刷を許可するかどうかを設定できる機種があります。上限枚数を決めて、超えたら止める設定を持つ機種もあります。
カラーの単価はモノクロの10倍前後です。社内資料をカラーで出す習慣がある部署がひとつあるだけで、月額に効いてきます。単価の考え方は複合機の保守契約とカウンター料金をご覧ください。
なお、全面的にカラーを止めるのではなく、黒と1色だけで刷る「モノカラー」に寄せる方法もあります。こちらはカウンター料金節約術。モノカラーとはで解説しています。
費用の配賦ができる
部署別の枚数が出ると、印刷費を部門予算に割り振れます。
プロジェクト単位で費用を管理している会社や、複数の事業を持つ会社では、この数字がそのまま配賦の根拠になります。費用の構成については複合機リース料金を構成する5つのコスト項目で整理しています。
認証の方式は3つ
暗証番号(テンキー入力)
最も手軽な方式です。操作パネルで番号を入力してから使う形になります。
追加の機器が不要で、多くの機種に標準で入っています。一方、番号が共有されやすく、個人を厳密に特定する用途には向きません。部署単位の集計であれば十分に機能します。
ICカード
社員証をかざして認証する方式です。番号の入力が不要なため、日常の手間がほとんど増えません。
注意点は、カードの方式が合うかどうかです。ICカードには複数の規格があり、機種やカードリーダーによって読める範囲が変わります。今お使いの社員証がそのまま使えるかどうかは、導入前に必ず確認してください。
カードリーダーはオプションになる機種が多く、台数分の費用がかかります。
パソコンのアカウント連携
社内のアカウント情報と複合機を連携させ、パソコンのログイン情報でそのまま認証する方式です。
ユーザーを別途登録する手間がなく、入退社時の管理も一元化できます。ただし、社内のサーバー構成に依存するため、導入時に設定の手間がかかります。ネットワーク周りの前提は複合機のセキュリティチェックリストもあわせてご確認ください。
3つの方式の比較
| 暗証番号 | ICカード | アカウント連携 | |
|---|---|---|---|
| 追加の機器 | 不要 | カードリーダーが必要 | 不要 |
| 毎回の手間 | 番号を入力する | かざすだけ | かざすかログイン情報を使う |
| 個人の特定 | 共有されやすい | 確実 | 確実 |
| 導入の手間 | 小さい | 中程度 | 大きい(社内の設定が必要) |
| 向いている規模 | 〜30人 | 30人〜 | 情報システムの担当者がいる会社 |
迷う場合は、まず暗証番号で部門別の集計を始めて、運用が定着してからICカードに移る進め方が現実的です。最初からICカードを入れると、カードリーダーの費用が先に発生し、運用が決まらないまま機器だけが残ることがあります。
認証印刷という使い方
部門管理と組み合わせてよく使われるのが、認証印刷です。パソコンから印刷を指示しても、すぐには出力されず、本人が複合機の前で認証したときに初めて印刷されます。
メーカーによって、プライベートプリント、セキュリティプリント、ホールドプリントなど呼び名が違いますが、動きは同じです。
置き忘れがなくなる
排紙トレイに書類が残る状態がなくなります。人事や経理の書類を扱う部署では、これだけで導入する価値があります。
印刷前に取り消せる
指示したあとで間違いに気づいた場合、複合機の前で削除できます。ページ設定を間違えて100枚出してしまう、という事故が減ります。
出社していない日の誤印刷が減る
在宅勤務の日に誤って社内の複合機へ送ってしまっても、認証されるまで出力されません。一定時間で自動削除する設定を持つ機種もあります。
数字はどう変わるのか
部門管理を入れると、まず「見えていなかったものが見える」状態になります。金額として効いてくるのは、そのあとです。
たとえば全社で月にモノクロ3,000枚、カラー500枚を使っている会社が、部門別に出したとします。
| 部署 | モノクロ | カラー |
|---|---|---|
| 営業部 | 1,200枚 | 380枚 |
| 管理部 | 1,500枚 | 40枚 |
| 制作部 | 300枚 | 80枚 |
カラー500枚のうち380枚が営業部に集中していることが分かります。中身を確認したところ提案書の社内確認用だった、というのはよくある話です。
ここで社内確認用だけモノクロに変えると、仮に380枚のうち250枚が該当した場合、カラー単価15円とモノクロ単価1.8円の差13.2円で、月3,300円、年間で約4万円の差になります。
部門別に出さない限り、この380枚という数字自体が見えません。削減の前に、まず内訳を出すことが必要です。
小規模な会社でも意味があるか
10人以下の会社では、部署に分けて集計する意味は薄くなります。誰が何を印刷しているかが、集計しなくても分かるためです。
一方、認証印刷は人数に関係なく効きます。来客や協力会社の方が出入りするオフィスであれば、排紙トレイに書類が残らない状態を作る価値があります。複合機に残るデータそのものの扱いについては複合機からの情報漏えいにご注意もあわせてご確認ください。
人数が少ない会社では、部門管理は入れず認証印刷だけを使う、という組み方で十分なことがあります。
導入前に確認すること
標準機能かオプションか
部門別カウンタは標準で入っていることが多い機能です。一方、ICカード認証や認証印刷は、機種によって標準とオプションが分かれます。
見積りの段階で、どこまでが本体価格に含まれるかを確認してください。同じ価格帯の機種でも、ここで実際の支払いが変わります。
誰が登録と変更を行うか
部門やユーザーを登録する作業は、導入時に一度行えば終わりですが、人の出入りがあるたびに更新が必要になります。
担当者を決めずに導入すると、半年後には退職者のコードが残り、新しい方が別の部署のコードを使っている、という状態になります。運用する人を決めてから導入してください。
現場の手間がどれだけ増えるか
認証を入れると、コピーを1枚取るだけでも認証が必要になります。ICカードであれば数秒ですが、暗証番号の入力は毎回の負担になります。
印刷量が多い部署ほど、この差が効いてきます。方式を決める前に、実際に使う方の意見を聞いておくと定着しやすくなります。
よくあるご質問
Q. 部門別カウンタは後から追加できますか
多くの機種では標準機能として入っているため、設定を有効にするだけで使えます。現在お使いの機種で使えるかどうかは、保守をお願いしている販売店に確認すれば分かります。
Q. 今使っている社員証をそのまま使えますか
カードの方式と、複合機側のカードリーダーが対応しているかによります。社員証の券面や発行元の資料に方式が記載されていることが多いため、その情報をお伝えいただければ確認できます。
Q. 認証を入れると来客の方は使えなくなりますか
来客用の共通コードを1つ作っておく運用が一般的です。共通コード分の枚数は別枠で集計されるため、部署別の数字が乱れることもありません。
Q. 部門別の集計はどのくらいの頻度で見るべきですか
月に1回で十分です。保守の請求と同じタイミングで確認すると、全社の枚数と部署別の内訳を突き合わせられます。
Q. 認証印刷にすると、出力までに時間がかかりませんか
データは指示した時点で複合機に送られているため、認証後の出力は通常と同じ速度です。複合機まで歩く時間は必要になりますが、印刷そのものが遅くなるわけではありません。
印刷コストの見える化でお困りなら「事務機器ねっと」にご相談ください
事務機器ねっとは、複合機・コピー機のマルチベンダー販売店として20年目に入りました。8メーカーを取り扱っており、認証まわりの対応範囲はメーカーごとに違いがあります。
今お使いの社員証の方式と、認証を入れたい範囲をお聞かせいただければ、対応できる機種をお出しできます。現在の機種で設定だけで対応できる場合は、その旨をお伝えします。
お取引にあたっての体制
・ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)認証取得
・創業35年以上、サイト運営20年、総販売台数16,000台超
・8メーカー取扱いのマルチベンダー販売店
まとめ
印刷コストを部署単位で把握したい場合、進め方は次のとおりです。
・まず部門別カウンタを有効にして、部署ごとの枚数を1か月分出す
・カラーの使用が偏っている部署があれば、上限設定かモノカラーへの切り替えを検討する
・書類の置き忘れが問題になっているなら、認証印刷をあわせて入れる
・ICカードを使う場合は、今の社員証が使えるかを導入前に確認する
部門別カウンタは、多くの機種にすでに入っている機能です。新しい機械を買う前に、今お使いの機種で何ができるかを確認するところから始めてください。
この記事の監修者
株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー
大塚 義美
複合機メンテナンス許可認定
FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON
経歴
複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。










事務機器ねっとは「コピー機・プリンターリース価格満足度 第1位」と「コピー機・プリンター販売サイト導入後のサポート満足度 第1位」の二冠を獲得しました。
第37号‐24020002
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