複合機の消費電力と電気代【待機電力・省エネモードの実効性】

「複合機の電気代が実際どのくらいかかっているのか把握していない」
「省エネモードを設定しているが、どれくらい効果があるのか分からない」
「電気料金が上がっているので、事務機器の電力も見直したい」
こうした声を、コスト管理を見直している企業のご担当者様から伺うことがあります。複合機の電気代は、リース料やカウンター料金に比べて意識されにくい費用ですが、台数と使い方によっては年間で無視できない金額になります。
結論から言うと、複合機の電力コストは、①稼働時ではなく待機時の電力が総量を左右する、②省エネモードの復帰時間と節電効果はトレードオフ、③台数の集約が最も効果が大きい、の3点を押さえて考えるのが実務的です。
本記事では、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに、消費電力の構造・電気代の試算方法・省エネモードの実効性・見直しの優先順位を整理します。
事務機器ねっとからのお願い
複合機の電力は「4つの状態」で決まる
複合機の消費電力は、動作状態によって大きく変わります。
1. 印刷中(ピーク時)
最も電力を使う状態です。トナーを紙に定着させるため、定着ユニットを高温に保ちます。
- A4モノクロ機:600〜1,200W程度
- A3カラー中位機:1,200〜1,800W程度
ただし印刷している時間は1日のうちごく短時間です。1日500枚を毎分30枚で刷っても、実稼働は17分程度にすぎません。
2. スタンバイ(待機・すぐ印刷できる状態)
印刷指示が来たらすぐ動ける状態です。定着ユニットをある程度温めておくため、電力を消費し続けます。
- 30〜200W程度(機種による)
この状態が1日の大半を占めます。 電気代の総量に最も効いてくるのがここです。
3. 低電力モード(省エネモード)
一定時間操作がないと自動的に移行します。定着ユニットの温度を下げ、消費電力を抑えます。
- 10〜50W程度
復帰には数秒から数十秒かかります。
4. スリープ(休止)
最も電力を抑えた状態です。
- 0.5〜5W程度
復帰には10〜60秒程度かかる機種が一般的です。
電気代を試算してみる
A3カラー中位機を1台、平日8時間稼働の事務所で使う場合の概算です。電力量料金を1kWhあたり31円として計算します。
設定A:省エネモードへの移行を長め(30分)にしている場合
- 印刷中:1,500W × 0.3時間 = 0.45kWh
- スタンバイ:150W × 7時間 = 1.05kWh
- スリープ(夜間・休日):3W × 16.7時間 = 0.05kWh
- 1日あたり:約1.55kWh = 約48円
- 月20営業日:約960円/年間:約1万1,500円
設定B:省エネモードへの移行を短め(5分)にしている場合
- 印刷中:1,500W × 0.3時間 = 0.45kWh
- スタンバイ:150W × 2時間 = 0.30kWh
- 低電力モード:30W × 5時間 = 0.15kWh
- スリープ(夜間・休日):3W × 16.7時間 = 0.05kWh
- 1日あたり:約0.95kWh = 約29円
- 月20営業日:約590円/年間:約7,100円
差は年間で約4,400円です。1台なら大きな額ではありませんが、5台なら年間2万円強、10台なら4万円強の差になります。
※ 上記は一般的な仕様値をもとにした概算です。実際の消費電力は機種・設定・使用状況によって変わります。
省エネモードは「復帰時間」とのトレードオフ
省エネモードへの移行を早くすれば電気代は下がります。ただし、復帰時間の分だけ待たされます。
移行を短くするのが向いているケース
- 印刷の頻度が低い(1日数回程度)
- 待ち時間が業務に影響しない
- 台数が多く、電力の総量が大きい
移行を長めにするのが向いているケース
- 断続的に印刷が発生する(数分おきに誰かが使う)
- 来客対応や窓口業務で待ち時間が問題になる
- 復帰の待ち時間が積み上がると業務効率が落ちる
実務上のバランスは、移行時間を10〜15分に設定するあたりに落ち着くことが多くあります。頻繁に使う時間帯はスタンバイを維持し、使わない時間帯は省エネに入る形です。
なお、復帰時間の短さは機種の性能差でもあります。同じスリープ状態からでも、10秒で復帰する機種と60秒かかる機種があります。省エネと使い勝手を両立したい場合、この復帰時間を機種選定の判断材料に加えてください。
電力を下げる4つの手段(効果の大きい順)
1. 台数を集約する
最も効果が大きい手段です。
各フロア・各部署に小型機を分散配置していると、すべての機械が待機電力を消費し続けます。3台を1台に集約すれば、待機電力は単純に3分の1近くまで下がります。
集約にはネットワーク設計の見直しが伴いますが、電気代だけでなくリース料・保守費も減るため、総合的な効果が最も大きくなります。
2. 省エネモードの設定を見直す
現在の設定を確認してください。初期設定のまま長い移行時間になっている機械は少なくありません。
操作パネルの設定メニューから変更できます。分からない場合は保守業者に依頼すれば設定してもらえます。
3. 夜間・休日の電源管理
週末に完全に電源を落とす運用にすると、その分の待機電力がゼロになります。
ただし、FAX受信がある事業所では電源を落とせません。FAXの有無で運用が変わります。ウィークリータイマー機能を持つ機種であれば、曜日ごとに自動でオン・オフを設定できます。
4. 機種の世代を新しくする
複合機の省エネ性能は世代とともに向上しています。10年前の機種と最新機種では、待機電力に大きな差があることがあります。
買い替えを検討している場合、カタログのTEC値(消費電力量/週)を比較してください。国際エネルギースタープログラムの基準値で、機種間の比較に使えます。
買い替え時期の判断は複合機の耐用年数と買い替えサインで整理しています。
意外と見落とされる点
電源容量
高位機やフィニッシャー付きの構成では、専用回路が必要になる場合があります。既存の電源で足りるかは、設置前に確認が必要です。設置時の確認事項は複合機のおすすめサイズと選定ポイントもご参照ください。
瞬間的な突入電流
電源投入時やスリープ復帰時には、定常時より大きな電流が流れます。同じ回路に他の機器が多数つながっている場合、ブレーカーが落ちることがあります。
空調への影響
複合機は稼働時に発熱します。狭い部屋に高位機を置くと、夏場の空調負荷が上がります。電気代としては空調側に跳ね返る形です。
よくあるご質問
Q. 複合機の電気代は年間どのくらいですか
A. 機種と使い方によりますが、A3カラー中位機1台で年間7,000〜1万2,000円程度が一般的な目安です。台数が多い事業所では合計額を確認してください。
Q. 省エネモードにすると印刷品質は落ちますか
A. 落ちません。定着ユニットの温度が下がるため復帰に時間がかかりますが、印刷品質そのものには影響しません。
Q. 毎日電源を切ったほうが節電になりますか
A. スリープ状態の消費電力は数W程度なので、電源を切ることによる節電効果は限定的です。またFAX受信がある場合は切れません。効果を求めるなら、省エネモードの設定見直しと台数の集約が優先です。
Q. TEC値とは何ですか
A. 国際エネルギースタープログラムで定められた、1週間の標準的な使用パターンにおける消費電力量です。機種間の省エネ性能を比較する指標として使えます。カタログに記載されています。
Q. 古い機種と新しい機種で、電気代はどのくらい違いますか
A. 機種によりますが、待機電力の改善が進んでいるため差が出ることがあります。具体的な比較はTEC値で確認してください。
電力・コストの見直しなら「事務機器ねっと」にご相談ください
複合機の電力コストは、機種の性能だけでなく、台数の配置と省エネ設定で大きく変わります。複数メーカーを横断比較できる販売業者に相談し、現在の構成を含めて見直すのが実務的です。
複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)は、SHARP・Canon・FUJIFILM・KYOCERA・OKI・EPSON・KONICA MINOLTA・HPの8メーカーを取り扱う独立系マルチベンダー販売店として、機器構成の見直しのご相談を承っています。
お取引にあたっての体制
- ISO/IEC 27001(ISMS)情報セキュリティマネジメントシステム認証を取得・維持
- 創業35年・事務機器ねっと運営20年・8メーカー取扱
- 東京都内では区域担当制の自社メンテナンス体制
- 本体リース料金・カウンター料金・保守費を分けた明細でお見積り
現在の設置台数・機種・フロア構成・月間の印刷量をお伺いした上で、集約の可否と見込める削減額をご提示いたします。ご相談はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
まとめ
複合機の電気代は、①印刷中ではなく待機時の電力が総量を決める、②省エネモードの移行時間は復帰の待ち時間とのトレードオフで10〜15分あたりが実務的な落としどころ、③台数の集約が最も効果が大きい、の3点で整理できます。
1台あたりの金額は大きくありませんが、台数が増えるほど効いてきます。まず現在の省エネ設定を確認するところから始めると、費用をかけずに改善できる余地が見つかります。
事務機器ねっとからのお願い
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この記事の監修者
株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー
大塚 義美
複合機メンテナンス許可認定
FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON
経歴
複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。











事務機器ねっとは「コピー機・プリンターリース価格満足度 第1位」と「コピー機・プリンター販売サイト導入後のサポート満足度 第1位」の二冠を獲得しました。
第37号‐24020002
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