裏紙利用はNG! コピー機の故障原因となるってホント!?

業務をしていると、「間違えて印刷してしまった。」「必要以上の部数を印刷した。」「片面しか印刷していないけど裏面も印刷したい。」といったミスや状況が発生すると思います。企業によっては、不要な印刷用紙を入れるボックスがコピー機の隣に置いてあります。印刷部分が少なく、このまま捨ててしまうのは勿体無いというコピー用紙が多くあることでしょう。昨今SDGsなど、持続可能な開発を目標に環境問題に取り組む姿勢が目立っています。その取り組みもあってか、自分が出力したい書類を、まっさらな普通紙に印刷することが少し勿体無いと思い、裏紙を活用して印刷をしていたという方もいらっしゃいます。このように環境に優しい思いもあるかと思いますが、実は複合機メーカーは裏紙の使用を推奨していません。今回は裏紙利用のメリット・デメリットをご紹介いたします。
裏紙利用のメリット・デメリット
メリット
普通用紙の使用削減
裏紙を積極的に利用することで、普通紙の使用枚数を減らすことができます。無駄紙を大事に使用することで、消耗品である紙を節約して使用できるのです。用紙にかかる費用も少し削減できます。
環境にやさしいエコ対策
企業はサステナビリティを意識しています。裏紙の利用により、ゴミが減り、環境問題のためにも裏紙利用をコツコツと続けると、エコ対策にもなります。SDGsに積極的に取り組む企業としてイメージの向上にもつながるでしょう。
デメリット
コピー機の故障の原因
裏紙を利用して印刷をすると、紙詰まりの原因になります。業務用のコピー機は多くがレーザーコピー機です。コピー機の仕組みとして、感光体ユニット表面にマイナスの静電気を帯びさせ、光で感光体ユニットに画像を描きます。そしてレーザー光の照射部分は静電気がなくなるのです。このように転写する方式が複合機の仕組みです。ここで、すでに印刷された裏紙を使用することで、何も印刷されていない普通紙よりも静電気が起きやすくなります。静電気が起きやすくなることによって、給紙口から重送されてしまい、いっぺんに複数枚が取り込まれ、紙詰まりを起こすのです。
情報漏えいリスク
裏紙を使用する場合、印刷されている内容によっては情報漏えいにつながる可能性があります。重要書類を裏紙として扱うなんてことはないかもしれませんが、冒頭でも述べた通り社内の複数の人が裏紙を入れるボックスに裏紙を入れていた場合、自分の管轄とは違う書類が混ざっている状況や、それが重要書類で気づかないうちに裏紙に混ざっていたということもあるでしょう。裏紙を使用する際は、必ず印刷されてあった内容を確認し、判断してから使用するようにしましょう。
さらに、既に印刷された用紙を使用することで、印字されていたトナーが剥がれて感光体に付着してしまいます。コピー機の印刷設定の際に両面印刷が可能ですが、両面印刷と裏紙での印字の見た目は同じながらも印刷の仕方が全く違います。両面印刷の場合、表面(一面)を印刷する際と裏面(二面)を印刷する際の温度が異なります。表面(一面)の方が温度は高く、裏面(二面)は低くなっているのです。しかし、裏紙印刷は表面(一面)と同じ温度で裏面(二面)も印刷することになります。これにより、トナーの定着の仕方が変わってしまい、トナーが剥がれて感光体に付着してしまいます。そして、普通紙で印刷やコピーをした際にも汚れや紙詰まりを起こしやすくなるのです。

ドラム1 で印字された用紙は、両面ユニットに送られ、一時的に溜められたあと、用紙の反対側からドラム2の下へ送られます。1から2へ送られる際に紙の向きは変わっています。
裏紙を使用する際の3つの注意ポイント
裏紙利用にはデメリットが多くありますが、「禁止」というわけではありません。両面印刷にしたい資料を間違えて片面印刷してしまい、どうしても裏紙に印刷して利用したい場合もありますよね。そういった状況の方には、下記のポイントを押さえて裏紙を利用していただきたいと思います。
① 手差しから印刷する

手差し印刷をする際は、向きに気をつけて印刷しましょう。
裏紙を利用して印刷する際には、基本的に手差しトレイを使用しましょう。お客様の中で、用紙カセットの一段目に普通紙、二段目に裏紙をセットしている方もいらっしゃいますが、これはオススメしていません。故障の原因になるため、裏紙を使用したい場合は手差しから少しずつ使用していきましょう。
② 同じメーカー・コピー機で印刷する

例えば、富士フイルムのコピー機で印刷した用紙を裏紙印刷する際に、京セラのコピー機で印刷してはいけません。
キヤノンのコピー機で印刷した裏紙を使用するなら、印刷したキヤノンの機種。シャープのコピー機で印刷した裏紙を使用するなら、印刷したシャープの機種。というように、メーカーは同じコピー機に統一しましょう。(機種は可能な限り同じコピー機の使用がオススメです。)メーカーごとでトナーの成分が違いますし、トナーの溶ける温度もメーカーによって違いがあります。同じメーカー・機種でないと、前述したようにトナーが剥がれ、故障の原因に繋がります。
③ 状態の良い裏紙を使う
一度印刷された用紙は、トナーが既に付着しているので反っている状態です。こういった普通紙との少しの違いにより、紙詰まりが起きやすくなります。
- 折り目がついている用紙
- 印字濃度が高い用紙(写真やイラストなど)
- 綴じ穴が空いている用紙
- 厚さの違う用紙
- 印刷された直後の用紙

裏紙は曲がっておらず、インクの濃度が低い、状態の良い用紙を使用しましょう。
このような用紙は省いてください。上記以外の裏紙を使用しましょう。裏紙の中にはホッチキスを取り外していないままの裏紙も混ざっている可能性もあるので、十分に気をつけて裏紙を使用してください。
今回は裏紙のメリット・デメリット、もし使用するのであれば、という方法をご紹介いたしました。冒頭と重複しますが、事務機器ねっとはお客様に、**「基本的に裏紙の利用は推奨していません。」**ということはお伝えしたいと思います。デメリットでご紹介した通り、裏紙の利用は故障に直結しています。コピー機が故障してしまうと費用がかかるだけではありません。用紙が取り除けない部分に詰まってしまった場合、素人では対応ができないため、メンテナンスマンに依頼することになります。時間がかかり業務にも支障が出てしまいますよね。しかし、裏紙を利用することが環境にやさしいのは事実です。
実践できる裏紙活用術
・バインダーやクリップで裏紙を留めて、手書きのメモ用紙として使用すると良いでしょう。
・また、古紙回収業者と相談し、シュレッダーにかけた粉々の用紙や無駄紙を回収してもらうと資源化が可能です。機密文書であっても、セキュリティや費用の観点から会社の事情にあった機密文書処理会社を選定すると、資源化することが可能です。排出した機密文書を確実に抹消したことが証明される確認書類もあるため、安心して依頼するとよいでしょう。
事務機器ねっとではコピー機での裏紙利用はオススメしませんが、積極的にSDGsに取り組む姿勢は大事だと思います。日常の業務でも環境に配慮した行動を心がけたいですね。
この記事の監修者
株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー
大塚 義美
複合機メンテナンス許可認定
FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON
経歴
複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。















事務機器ねっとは「コピー機・プリンターリース価格満足度 第1位」と「コピー機・プリンター販売サイト導入後のサポート満足度 第1位」の二冠を獲得しました。
第37号‐24020002
(適用範囲:HCグループ)