複合機・スキャン専用機の違いや使い方を解説!PDF化のメリットも紹介

複合機はスキャン専用機と比べて機能が多く、日常業務を効率的に進められます。
一方で、どちらを選ぶべきか迷う場面も少なくありません。たとえば、日常的にスキャン作業を行う担当者にとっては、操作性や保存形式の違いが重要です。また、PDF化の活用方法や保存先も整理しておく必要があります。
本記事では、複合機とスキャン専用機の違いや、一般的なスキャン手順、保存先の種類、PDF化のメリットまで、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)の ノウハウをもとに幅広く解説します。
複合機とスキャン専用機の違い
複合機はプリンターやコピー、FAXなどを一体化した機器で、オフィス内での共同利用を前提に設計されています。対して、スキャン専用機はスキャン処理に特化しており、読み取り速度や連続処理に優れています。
サイズや用紙の種類が異なる原稿を自動で振り分けたり、OCRで文書を分類したりする機能も搭載されており、電子化作業の負担軽減が可能です。利用目的や書類の量に合わせて、最適な機器を選定する視点が欠かせません。
複合機の利用が向いている人
スキャン業務が日常的でなく、対象が少量かつ標準サイズに限られる場合は、複合機で十分に対応できます。契約書や報告資料などを1枚ずつ読み取る場面では、高性能なスキャナー機能を求める必要はありません。
スキャン専用機との違いの一つとして、複合機は標準でAI-OCR機能を備えている機種もあり、文字情報のデジタル化がスムーズに行える点が特徴です。スキャンに特化しているわけではありませんが、標準的な業務で求められる機能は一通り揃っており、日常的なビジネス利用には十分な性能を持ち合わせています。
印刷やコピーなどの機能を1台に集約できるため、設置スペースやコストも抑えやすくなるのがメリットです。 一台で複数業務に対応できる複合機は、汎用性を重視する小規模オフィスや部署単位の利用にも適しています。限られたリソースで利用を効率化したい場合におすすめです。
スキャン専用機の利用が向いている人
スキャン作業が中心となる業務では、専用機の導入が有効です。たとえば、来客対応の場で免許証を即座にスキャンする必要がある場合や、大量の紙資料を短時間で処理したいケースでは、スピードと精度を兼ね備えた専用機が適しています。
多様な原稿に対応する自動給紙や両面同時読み取りといった機能により、作業効率が大幅に向上します。また、パーソナルユースにも対応しやすく、自席で完結できる点も利点です。スキャン処理の質と速度を両立したい場合に適しています。
複合機・スキャン専用機での一般的なスキャン方法
複合機やスキャン専用機でスキャンする際は、原稿を読み取りガラスに配置し、操作パネルで「スキャン」機能を選択します。続いて、送信先としてパソコンの共有フォルダ、メールアドレス、またはUSBメモリなどを指定し、「スタート」ボタンを押すとスキャンが開始されます。
原稿が複数枚ある場合は、自動原稿送り装置を使えば連続処理に対応できるでしょう。解像度やカラーモードを事前に調整しておくと、用途に合ったデータ形式で保存できます。正確な電子化を行うには、各設定の確認が重要です。
スキャンしたデータの保存先
スキャンしたデータは用途や環境に応じて複数の方法で保存できます。パソコンやスマートフォン、USBメモリなど、連携できる機器は多岐にわたります。Macとの接続にも対応しており、共有フォルダやネットワーク経由での保存も可能です。
それぞれの保存先には特性があり、業務内容に応じて使い分けることで、作業効率が大きく変わります。ここでは、スキャンしたデータの保存先について紹介します。
PCフォルダやメールでの保存・共有
複合機やスキャン専用機は、事前設定したパソコンの共有フォルダへデータを直接送信できます。スキャン先としてネットワーク上のフォルダをあらかじめ設定しておけば、作業のたびに保存先を選ぶ手間が省け、業務の流れがスムーズです。
また、スキャン時に送信先としてメールアドレスを入力すれば、データを添付ファイルとして即座に送信できます。ファイルはPDFやJPEGなどで出力でき、閲覧や共有もスムーズです。印刷せずに情報をやり取りできるため、紙の削減にもつながります。
外部メディア(USB/SD)への保存
USBメモリやSDカードを複合機に接続すると、スキャンデータを外部メディアへ直接保存できます。ネットワークが不安定な環境でも安定した保存が可能で、オフライン環境下でも利用できる点が特徴です。
保存したデータは、そのままパソコンに差し込んで読み取れます。作業現場での一時保存や持ち出しにも適しており、持ち運びやすさも利点です。保存形式やファイル名をスキャン時に選べるため、管理や仕分けもしやすくなります。
スマートフォン連携によるスキャンデータ送信
スマートフォンにスキャンデータを送信するには、複合機がWi-FiやBluetoothに対応している必要があります。専用アプリやクラウドサービスを経由すると、データはスマートフォンに即時転送されます。現場での確認やその後の共有も手間なく行うことが可能です。
モバイル端末と連携すると、デスクに戻らずとも情報を扱えるため、外出先や出張時の業務効率も高まります。紙文書を即時デジタル化してスマートに管理できるため、ペーパーレス化の実現にもつながります。
Macへのスキャンデータ転送
Macと複合機を接続するには、共有フォルダの作成とSMB設定が必要です。Mac側で共有機能を有効にし、スキャン用のフォルダにアクセス権を付与したうえで、複合機側から接続先として設定すれば、データ送信できます。
Windowsに比べ設定手順がやや複雑ですが、一度設定すればスムーズに利用が可能です。Macを使用する職場でも、複合機を使ったスキャン作業を問題なく行えるように設定できます。
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複合機やスキャン専用機で書類をPDF化するメリット
紙書類を扱う業務では、作業の非効率や保管の手間が課題です。複合機やスキャン専用機で書類をPDF化すれば、処理速度や管理の柔軟性が向上します。電子データとして活用すれば、検索性や共有性が高まり、紙の制約に左右されにくくなります。
また、複合機にはOCR(光学文字認識)機能を標準で搭載している機種も多く、スキャンと同時に書類内の文字情報を自動でテキストデータ化が可能です。特にAIを活用したAI-OCR機能では、手書き文字や非定型フォーマットの書類にも対応しやすく、PDFに変換した文書の検索性・活用度をさらに高められます。
さらに、パスワード保護やクラウド管理との相性も良く、情報保護にも効果的です。PDFは汎用性の高いファイル形式であり、業務のデジタル化を進めるうえで有力な手段です。
複合機やスキャン専用機で書類をPDFにするメリットは、主に次の4つです。
- 書類のデジタル化で作業スピードが向上
- 印刷・配送コストを抑える
- 紙よりも安全な情報管理が可能に
- デジタル化の第一歩として最適
ここでは、複合機やスキャン専用機で書類をPDF化するメリットについて詳しく紹介します。
書類のデジタル化で作業スピードが向上
PDF化により、書類の確認や共有が即時に行えます。パソコンやスマートフォンで扱えるため、外出先やリモート環境でも柔軟に対応できます。紙を使ったやり取りでは発生する受け渡しの時間や印刷の手間が不要になり、業務全体の流れがスムーズになるのです。
複合機に標準搭載されているOCR機能を活用すれば、スキャンと同時に文字情報を読み取り、検索可能なPDFとして保存できます。
保管棚を探す作業や原本の紛失リスクも回避でき、作業の質と効率がともに高まります。電子データとして一元管理すると、情報の検索や分類も簡潔になるでしょう。
印刷・配送コストを抑える
PDFでの運用に切り替えると、印刷や配送にかかるコストを削減できます。用紙やインクなどの消耗品を使わずに済み、プリンターの稼働頻度も抑えることが可能です。郵送に伴う封筒や切手、配送料といった費用も不要になるため、日常的な出費の見直しにつながります。
また、修正や再送が生じた場合でも、電子ファイルなら即座に対応できます。コスト面だけでなく、業務の柔軟性の観点からも、PDF化の効果は明確です。
紙よりも安全な情報管理が可能に
PDFファイルは、安全性に優れた形式として評価されています。閲覧制限の設定や暗号化によって、外部からの不正アクセスを防ぎやすくなるのです。クラウドサービスと組み合わせれば、データの分散保存も可能であり、物理的な被害にも強くなります。
万が一の災害や端末の破損にも備えやすく、情報資産を長期にわたって安定的に管理が可能です。紙文書では実現が難しい保護体制を、PDFで構築できます。
デジタル化の第一歩として最適
PDF化は、業務のデジタル化を進めるうえで最初に取り組むべき工程です。紙の書類を電子データに置き換えることで、ファイル共有や保存管理の見直しへと自然につながるのです。
複合機や専用機の機能を活用すれば、特別なスキルを持たなくても変換作業を始められます。小規模な業務から段階的に対応できるため、無理のない形でDX推進を進める足がかりとなるでしょう。初期導入の負担が軽く、導入効果が明確な点も大きな利点です。
まとめ
複合機やスキャン専用機を使ったPDF化は、業務の質を高める有効な手段です。スピードやコスト、安全性といった複数の面で効果があり、導入に見合う成果が得られます。保存先の選択肢や外部デバイスとの連携も豊富で、現場の実情に合わせた運用が可能です。
中でも、複合機はスキャン専用機と異なり、OCR機能を標準で備えている機種が多い点が大きな強みです。紙の文書をスキャンするだけでなく、文字情報として活用できる検索可能なPDFを簡単に作成できるため、情報管理や活用の効率が飛躍的に向上します。
紙文書を扱う業務の負担を減らしながら、情報管理の精度を高めるきっかけです。まずは身近な書類の電子化から始めることで、無理なくデジタル環境への移行を進められます。
本記事は、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに提供しています。
複合機の選定・導入に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー
大塚 義美
複合機メンテナンス許可認定
FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON
経歴
複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。