介護施設・訪問介護事業所の複合機選び【介護記録・ケアプラン・個人情報保護】

「介護記録とケアプランの印刷量が想像以上に多く、今の機械では追いつかない」
「利用者様の個人情報が載った書類を、印刷したまま置き忘れる事故が心配」
「職員の入れ替わりがあるので、誰でも迷わず使える操作画面のものにしたい」
こうした声を、特別養護老人ホーム・デイサービス・グループホーム・訪問介護事業所の管理者様から伺うことがあります。介護事業所の書類業務は、利用者様一人ひとりに紐づく記録が日々発生し、さらに月次の請求業務でピークが立つという特徴があります。
結論から言うと、介護施設の複合機選びは、①月次請求期のピークを吸収できる処理能力、②要介護者の個人情報を守るセキュリティ設定、③職員が誰でも迷わず操作できる分かりやすさ、の3点を軸に整理するのが実務的です。この3軸を押さえておけば、小規模なデイサービスから複数拠点を運営する法人まで、体制に合わせて機種を絞り込めます。
本記事では、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに、介護事業所ならではの書類運用・月次請求期の印刷ピーク・個人情報保護の設定・職員の操作性・規模別の機種目安までを整理します。
介護事業所の書類業務が、他業種と違う3つの点
介護事業所の複合機選びを難しくしているのは、印刷量そのものよりも書類の性質にあります。まず前提を整理します。
利用者一人あたりの書類が多い
介護事業所では、利用者様一人につき複数の書類が継続的に発生します。
- ケアプラン(介護サービス計画書)と、その同意書
- 介護記録・日誌・バイタル記録
- アセスメントシート、モニタリング記録
- サービス提供票、実績記録票
- ご家族への報告書
- 事故報告書・ヒヤリハット記録
利用者様が50名いれば、これらが50名分、毎月発生します。一般的な事務所の印刷が「業務量に比例」するのに対し、介護事業所は「利用者数に比例」する構造です。
月次でピークが立つ
介護保険の請求業務は月初に集中します。国保連への請求データの作成、サービス提供票の確認、実績記録票の突合。この時期に印刷量が跳ね上がります。
平常時の枚数で機種を決めると、毎月必ず月初に処理が詰まることになります。機種選定は月初のピークを基準にしてください。
個人情報の中でも特に配慮が要る情報を扱う
介護事業所が扱うのは、氏名・住所だけではありません。要介護度、既往歴、服薬情報、家族構成、経済状況。個人情報保護法における「要配慮個人情報」に該当する情報が日常的に紙に出力されます。
印刷したまま複合機に置き忘れる、他の利用者様の書類と混ざる。こうした事故は、機器側の設定である程度防げます。
介護施設の複合機で押さえる5つの要件
1. 月初の請求期を吸収できる処理能力
月初の請求業務では、通常月の2〜3倍の印刷が発生することがあります。印刷速度は毎分30枚以上、給紙容量は1,500枚以上を目安にしてください。
利用者50名規模のデイサービスで、平常時は月2,000〜3,000枚、月初に4,000〜6,000枚に達するケースが一般的です。カタログに記載された推奨月間印刷枚数が、ピーク月の枚数を下回っていないかを必ず確認してください。
2. 認証印刷(セキュアプリント)
介護事業所で最も導入価値が高い機能がこれです。
パソコンから印刷を指示しても、複合機の前で暗証番号やICカードで認証するまで出力されません。フロアの共有機を複数の職員が使う環境では、置き忘れによる情報漏えいを構造的に防げます。
夜勤帯に印刷して朝まで放置される、といった事態も避けられます。具体的な設定項目は複合機の情報セキュリティ対策チェックリストで解説しています。
3. 職員が迷わない操作性
介護現場は職員の入れ替わりがあり、ICT機器の習熟度にも幅があります。操作画面が複雑な機種を入れると、特定の職員しか使えない状態になりがちです。
確認しておきたいのは次の点です。
- タッチパネルの文字サイズと、よく使う機能へのショートカット登録
- 「両面コピー」「拡大縮小」など頻用操作をワンタッチで呼び出せるか
- 導入時に操作説明を行ってくれるか、職員向けの簡易マニュアルを用意してくれるか
導入時の操作研修は業者によって対応が分かれます。契約前に確認してください。
4. スキャンと記録の電子化
介護記録の電子化を進める事業所が増えています。紙で受け取った書類(主治医意見書、他事業所からの情報提供書、ご家族からの同意書)を電子化して保管する場面が日常的にあります。
両面自動原稿送り装置(DADF)・300dpi以上のカラースキャン・共有フォルダへの直接送信が揃っていると、記録整理の手間が減ります。
5. 設置場所と静音性
見落とされやすいのが設置環境です。
介護施設では、事務室が居室や共用スペースと近いことがあります。印刷音が大きい機種を居室近くに置くと、夜間帯に利用者様の睡眠を妨げる要因になります。
静音モードの有無、設置スペースの寸法、車椅子の動線を妨げない配置。この3点を事前に確認しておくと、設置後の移設を避けられます。設置寸法の考え方は複合機のおすすめサイズと選定ポイントも参考になります。
介護記録・ケアプランの印刷要件
書類ごとに求められる仕様が異なります。主なものを整理します。
ケアプラン(介護サービス計画書)
第1表から第7表まであり、A4またはA3で出力します。長期目標・短期目標の記載欄が横に広いため、A3で見開き印刷する事業所もあります。A3対応があると運用の自由度が上がります。
介護記録・日誌
モノクロA4が中心で、量が最も多い書類です。ここが月間印刷枚数の大半を占めるため、モノクロのカウンター単価が月額コストに直結します。
ご家族向けの報告書
写真を添付する事業所ではカラー印刷になります。レクリエーションの様子や食事の記録など、写真の再現性が求められる場面です。
事故報告書・ヒヤリハット記録
行政への提出書類になることがあり、記載内容が判読できる印字品質が必要です。
請求関連書類
サービス提供票、実績記録票。月初にまとめて出力するため、給紙量と速度が効いてきます。
個人情報を守るために設定しておくこと
介護事業所は要配慮個人情報を扱うため、複合機側の対策は他業種より慎重に設計する価値があります。
ユーザー認証で印刷ログを残す
誰がいつ何を印刷したかの記録が残ります。事故が起きた際の原因追跡だけでなく、抑止効果も期待できます。
内部ストレージのデータ暗号化
複合機は印刷・コピー・スキャンしたデータを内部ストレージに一時保存します。暗号化に対応した機種を選び、設定を有効にしてください。
リース返却時のデータ消去
見落とされやすいのがここです。リース満了で機械を返却する際、内部に残ったデータをどう消去するかを契約時に確認してください。消去証明書を発行する業者もあります。
要配慮個人情報を扱う事業所として、この点は契約書に明記してもらうことをおすすめします。
FAXの誤送信対策
介護事業所では、居宅介護支援事業所や医療機関とのやり取りでFAXが現役です。宛先の登録機能、送信前の宛先確認表示、誤送信を防ぐ機能の有無を確認してください。
事業所の規模別、機種の目安
小規模デイサービス・グループホーム(利用者10〜30名)
月間印刷は1,000〜2,500枚程度。A4対応のカラー機で足りるケースが多く、A3が必要かどうかはケアプランの運用次第です。月額1.0〜1.5万円台が目安になります。
認証印刷は、職員数が少なくても導入する価値があります。
中規模の施設(利用者30〜80名)
月間3,000〜6,000枚、月初のピークで8,000枚に達することも。A3対応・毎分30枚以上・給紙1,500枚以上を基準にしてください。月額1.5〜2.5万円台が目安です。
特別養護老人ホーム・複数拠点を運営する法人
事務室に高位機、各フロアや各事業所に中位機という構成が現実的です。法人本部で一括契約すると、単価交渉がしやすくなります。複数拠点の契約の考え方は複数拠点の複合機管理ガイドを参考にしてください。
訪問介護事業所
事業所自体は小規模でも、訪問先ごとの記録・報告書が発生します。利用者数に対して印刷量が多くなる傾向があるため、月間枚数は実績で確認してください。
コストの見方
介護事業所の複合機コストは、月額リース料とカウンター料金の合計で見る必要があります。
モノクロの印刷比率が高い業種なので、モノクロのカウンター単価が月額に直結します。月5,000枚を印刷する事業所で、白黒単価が1円台と2円台では月5,000円、年間6万円の差になります。
見積書を比較する際は、本体リース料・カウンター料金・保守費が分けて記載されているかをまず確認してください。分かれていない見積もりでは、後から単価の比較ができません。料金の内訳は複合機リース料金を構成する5つのコスト項目で整理しています。
止まったときの影響と保守体制
介護事業所で複合機が止まると、月初の請求業務が滞ります。請求は期限があるため、影響は他業種より深刻です。
契約前に確認しておきたいのは次の3点です。
- 駆けつけ時間:何時間以内に来られるか。エリア担当制か、広域からの派遣か
- 代替機の手配:修理が長引く場合に代替機が出るか
- 月初対応:請求期にあたる月初でも、同じ対応速度が保たれるか
業者ごとの差は複合機の故障対応で業者が違うとここまで差が出るで解説しています。
よくあるご質問
Q. 介護記録を電子化していても、複合機は必要ですか
A. 必要になる場面が残ります。ご家族への報告書、行政提出書類、他事業所への情報提供書、同意書など、紙でのやり取りが前提の書類は電子化後も発生します。電子化を進めた事業所ほど、スキャン機能の使用頻度が上がる傾向があります。
Q. 認証印刷を入れると、職員の手間が増えませんか
A. 印刷指示後に複合機の前で認証する一手間は増えます。ただしICカード認証にすれば、職員証をかざすだけで済みます。置き忘れによる情報漏えいのリスクと比較して判断してください。
Q. 小規模事業所ですが、A3対応は必要ですか
A. ケアプランをA3見開きで運用しているかどうかで決まります。A4のみで運用できているのであれば、A4機で十分です。将来的にA3が必要になる可能性がある場合は、リース期間(通常5〜6年)を考えて判断してください。
Q. 夜勤帯に印刷することがありますが、静音性はどう確認しますか
A. カタログに稼働音(デシベル)の記載があります。ただし体感は設置環境で変わるため、可能であればデモ機で実際の音を確認するのが確実です。静音モードを備えた機種もあります。
Q. リース返却時のデータ消去は、必ず対応してもらえますか
A. 業者によって対応が分かれます。標準対応の業者、有償オプションの業者、対応していない業者があります。要配慮個人情報を扱う事業所として、契約前に必ず確認し、書面で残してください。
介護施設の複合機なら「事務機器ねっと」にご相談ください
介護事業所の機種選定は、月初の請求ピーク・要配慮個人情報の保護・職員の操作性・静音性という、複数の要件が同時に求められます。複数メーカーを横断比較できる販売業者に相談し、利用者数と書類運用に合った機種を提示してもらうのが実務的です。
複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)は、SHARP・Canon・FUJIFILM・KYOCERA・OKI・EPSON・KONICA MINOLTA・HPの8メーカーを取り扱う独立系マルチベンダー販売店として、小規模デイサービスから複数拠点を運営する社会福祉法人まで幅広くご相談をお受けしています。
介護事業所のお取引にあたっての体制
- ISO/IEC 27001(ISMS)情報セキュリティマネジメントシステム認証を取得・維持
- 創業35年・事務機器ねっと運営20年・8メーカー取扱
- 東京都内では区域担当制の自社メンテナンス体制
- 本体リース料金・カウンター料金・保守費を分けた明細でお見積り
利用者数・サービス種別(通所/入所/訪問)・月初の印刷量・ケアプランの運用方法をお伺いした上で、8メーカーの中から用途に合う複数機種を比較してご提示いたします。ご相談はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
まとめ
介護施設・訪問介護事業所の複合機選びは、①月初の請求期を吸収できる処理能力、②要配慮個人情報を守るセキュリティ設定(認証印刷・暗号化・返却時のデータ消去)、③職員が誰でも迷わず使える操作性、の3点が基本要件になります。
小規模事業所ではA4対応機で月額1.0〜1.5万円台に抑え、中規模以上ではA3対応・毎分30枚以上のクラスを選ぶのが現実的です。機種は平常月ではなく月初のピークを基準に判断し、請求業務を止めない保守体制まで含めて選べば、事業所の運営を通じて安心して使い続けられる1台に出会えます。
この記事の監修者
株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー
大塚 義美
複合機メンテナンス許可認定
FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON
経歴
複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。











事務機器ねっとは「コピー機・プリンターリース価格満足度 第1位」と「コピー機・プリンター販売サイト導入後のサポート満足度 第1位」の二冠を獲得しました。
第37号‐24020002
(適用範囲:HCグループ)
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