キヤノンは2026年10月13日、オフィス向け複合機・プリンターのセキュリティーを強化する「プリンターEDR技術」を発表しました。
キヤノンによると、PCやサーバーのセキュリティー対策で利用されているEDR(Endpoint Detection and Response)の考え方をプリンターへ展開した技術は、プリンティング業界では初めてとのことです。2027年第1四半期から「imageFORCE」シリーズをはじめとする幅広いオフィス複合機・プリンターへ対象を拡大し、既設機についてもファームウエアアップデートを通じて順次提供するとしています。※「業界初」は2026年10月12日時点のキヤノン調べです。
複合機も、いまや「ネットワークにつながるIT機器」
今回の発表で注目したいのは、単に新しいセキュリティー機能が一つ増えるという話ではありません。
現在の複合機は、コピーやプリントだけを行う独立した事務機器ではなくなっています。社内ネットワークにつながり、クラウドサービスと連携し、スキャンデータや認証情報なども扱います。キヤノン自身も今回の発表で、プリンターを「認証情報や業務データを扱う重要なIT資産」と位置付けています。
つまり、PCやサーバーと同じように「ネットワークにつながっている機器」としてセキュリティーを考える必要があるということです。
これまでの複合機のセキュリティー対策では、不正アクセスを防ぐ、通信を暗号化する、利用者を認証するといった「侵入させないための対策」が中心でした。もちろん、これらは今後も欠かせません。そのうえでキヤノンが今回加えたのが、「万が一、不審な動きが起きた場合に、それを早く見つけて対処する」というEDRの考え方です。
プリンターEDRとは何か?
EDRとは、端末の動作を継続的に監視し、サイバー攻撃や不正な挙動の兆候を検知して対応につなげる仕組みです。キヤノンのプリンターEDRでは、複合機やプリンター内部で発生するイベントや動作を監視し、利用状況や操作傾向を分析します。
特徴的なのは、一つひとつの操作だけを見るのではなく、「一連の動き」として判断する点です。個別には正常に見える操作であっても、その前後の操作や利用状況を組み合わせて分析することで、内部不正や高度なサイバー攻撃の兆候を見つける仕組みになっています。さらにキヤノンは、MITRE ATT&CK(マイターアタック)を活用した検知シナリオと、プリンター特有の不正を見抜く独自のふるまい検知技術を組み合わせています。MITRE ATT&CKは、実際のサイバー攻撃で確認された攻撃者の行動や手法を体系的に整理した知識ベースです。MITRE自身も、攻撃者の戦術や技術を実際の観測結果に基づいて整理したものと説明しています。
不審な動きを見つけるだけでなく、自動で対処
プリンターEDRのもう一つのポイントが、脅威を「検知して終わり」にしないことです。不審な動きを検知すると、その内容に応じて不審な通信を遮断したり、改ざんされた設定を復旧したりする処理を自動で行います。検知内容は複合機本体のパネルで確認できるほか、メールやログ管理システムを通じて管理者へ通知される仕組みです。人が異常に気付いてから対応を始めるのではなく、機器側でも被害拡大の抑制を図る設計になっています。また、新たな攻撃手法などを反映した検知シナリオについても随時追加され、自動アップデートする計画です。キヤノンによれば、この自動アップデートへの対応は2027年を予定しています。
imageFORCEだけではない。既存機種も幅広く対象に
今回のプリンターEDRは、一部の新製品だけを対象とした機能ではありません。キヤノンが公表した対象一覧には、「imageFORCE」シリーズに加え、「imageRUNNER ADVANCE DX」「imageRUNNER ADVANCE」「imageRUNNER」、レーザープリンター・複合機の「Satera」、オンデマンドプリンターの「imagePRESS」まで幅広い製品が含まれています。
現在販売中の対象機種については、プリンターEDRを利用できる状態で2027年第1四半期から順次出荷される予定です。また、既設機についてもファームウエアアップデートを通じて順次提供すると発表されています。ただし、すべてのキヤノン製複合機・プリンターが対象になるわけではありません。導入済みの機種が対応しているかどうかは、型番ごとの確認が必要です。
| imageFORCEシリーズ(オフィス向け複合機) | 8105/8195/8186/C7165F/6170/6160/C5170F/C5160F/C5150F/C5140F/4145F/4135F/4125F/C3150F/C3150FQ/C3135F/C3130F/C3126F/C3022F/C431F/C331F |
|---|---|
| imageRUNNER ADVANCE DXシリーズ(オフィス向け複合機) | 8705/8795/8786/6870/6860/6780/6765/C5870F/C5860F/C5850F/C5840F/4945F/4935F/4925F/4845F/4835F/4825F/C3935F/C3930F/C3926F/C3835F/C3830F/C3826F/C359F |
| imageRUNNER ADVANCEシリーズ(オフィス向け複合機) | C357F |
| imageRUNNERシリーズ(オフィス向け複合機) | C3322F |
| Sateraシリーズ(レーザープリンター・複合機) | Satera 971Ci/LBP863Ci/LBP862Ci/LBP861C/LBP812Ci/LBP811C/LBP463i/LBP462/LBP461/LBP732Ci/LBP362i/LBP361i/MF842Cdw/MF7825F/MF7725F |
| imagePRESSシリーズ(オンデマンドプリンター) | C270/C265 |
複合機選びでも「セキュリティー」が比較項目になる
キヤノンは従来から、文書、複合機本体、ネットワーク・クラウドという3つの側面から守る「全方位防御」を掲げています。imageFORCEシリーズでは、環境に合わせて多数のセキュリティー項目をまとめて設定できる機能なども用意されています。そこへ今回、機器内部の挙動を継続的に監視し、不審な兆候を検知して対処するプリンターEDRが加わります。これまで複合機を選ぶ際は、印刷速度、画質、スキャン性能、ランニングコストなどが主な比較ポイントでした。今後はそこに「ネットワーク機器として、どこまでセキュリティー対策が施されているか」という視点も加わってきそうです。とくに、顧客情報や個人情報を扱う企業、クラウドサービスと複合機を連携している企業、情報システム担当者が少ない中小企業では、機器側で異常を検知し、自動対処まで行う仕組みは複合機選びの新しい判断材料になるでしょう。
「現在使っているキヤノン複合機はプリンターEDRに対応するのか」「次回の入れ替えではセキュリティーも重視して機種を選びたい」といったご相談も含め、複合機の導入・入れ替えをご検討の際は、お気軽に事務機器ねっとまでお問い合わせください。










事務機器ねっとは「コピー機・プリンターリース価格満足度 第1位」と「コピー機・プリンター販売サイト導入後のサポート満足度 第1位」の二冠を獲得しました。
第37号‐24020002
(適用範囲:HCグループ)