近年、消費者のニーズは多様化し、商品サイクルの短期化が進行しています。これに伴い、企業には柔軟かつ迅速な対応が不可欠となり、「多品種小ロット生産」が製造業の新たなスタンダードとして定着しつつあります。
このような市場環境において、企業が直面する課題の一つが、商品および管理ラベルの運用です。店頭で商品の魅力を効果的に伝える高画質な商品ラベルの重要性が高まるとともに、製造業や物流業では、在庫管理、トレーサビリティの強化、そして頻繁な品目変更や業務フローの見直しに対応できる柔軟な管理ラベルの運用が強く求められています。
この課題に対応するため、キヤノンマーケティングジャパン株式会社およびキヤノンファインテックニスカ株式会社は、ラベルプリンターの新製品として、8インチ幅対応の高画質モデル「LG-P800」と、4インチ幅対応の高速モデル「LX-D400」を2025年10月中旬より順次発売します。
高精細・高堅牢性が求められる商品ラベル対応:LG-P800
「LG-P800」は、主に飲料、食品、化粧品などの商品ラベルに求められる高い表現力と信頼性を追求した高画質モデルです。
- 高画質化と画像堅牢性の両立
LG-P800は、新開発の顔料インクを搭載することで、鮮明かつ高精細なラベル印刷を実現します。これにより、商品の魅力を効果的に伝え、ブランドイメージの強化や購買意欲の向上に貢献することが可能です。マット紙、光沢紙、光沢フィルムなど、多様なメディアへの印字適性に優れており、LabelCreate SE※1などのデザインソフトとの連携により、自由度の高い表現に対応します。
また、インクにワックス成分を配合しており、擦過性・耐水性に優れている点が特長です。これにより、物流から店舗での陳列に至るまで、ラベルの品質を維持できます。さらに、化学品の容器に使用されるGHSラベル※2など、厳しい環境下での使用に対応するほか、食品包装をターゲットにしたFDA(米国食品医薬品局)認証やEU規則などの食品安全性基準※5にも対応可能です。これは、食品や化粧品など、安全性が重視される分野でのラベル内製化を強力に後押しします。 - 現場の安定稼働を支えるダウンタイムレス機能
LG-P800は、印刷中断による生産性の低下を防ぎ、現場業務を効率化するための「ダウンタイムレス機能」を搭載しています。・プリントミス低減とインクのムダ抑制:プリントヘッドのノズルからのインク吐出をセンサーで精密にチェックし、目詰まりを検知した場合、別のノズルによって自動的に補完するノズルリカバリーシステムを採用しています。これにより、目詰まりによる色ムラなどの失敗プリントを低減し、目詰まり解消のためのヘッドクリーニング回数を減らすことで、インクのムダを抑制します。
・印刷の中断防止:交換頻度を低減できる300mlの大容量インクタンクを搭載しています。さらに、印刷中にインクタンク内が空になった場合でも、プリンター内部のインク保持機構によりプリンターを停止することなく印刷を継続できるため、生産性の低下を防止します。
・PCレス印刷対応:本体内部に500GBのHDDを搭載しており、印刷ジョブを保存し、PCを介さずに再印刷を簡単に行えます。また、USBダイレクト印刷機能も搭載し、JPEG、PDFファイルフォーマットに対応しています。本体パネル上でプレビュー表示を確認し、その場で印刷が可能なため、設置スペースが限られた作業場においても、必要なラベルをオンデマンドで迅速に印刷できます。
管理の効率化を実現する管理ラベル対応:LX-D400
「LX-D400」は、製造現場や物流現場における管理ラベルの運用効率化と生産性向上に特化した高速モデルです。
- 現場の生産性を支える高速印刷
LX-D400は、高い生産性を備え、最大毎秒330mm※3の高速カラー印刷を実現します。用紙最大幅まで設置された固定式の4.32インチ、1,200×1,200dpiのラインヘッド※7を搭載し、印刷前処理の最適化を行うことで、短時間での大量ラベル印刷が可能となり、印刷に関わる作業を効率化します。これにより、デザインや商品情報が頻繁に変更される状況においても、柔軟かつ迅速な対応を可能にし、業務の効率化を支援します。インクには高発色な染料インクを採用しており、視認性の高いラベル印刷を通じて製造現場の作業効率向上に貢献します。 - 直感的な操作性とRFIDオプション対応による革新
操作性においては、直感的な操作が可能な4.3インチの大型タッチパネルを搭載しており、稼働状況、消耗品の残量、印刷枚数などを一目で確認できます。また、よく使う操作をショートカットキーとして登録できるため、作業の省力化を実現します。
さらに、LX-D400の最大の特長の一つが、オプションで装着できるRFID※4ユニットへの対応です。物流業や製造業では、在庫・工程管理の精度向上、トレーサビリティの強化、省人化が喫緊の課題となっています。RFIDラベルは非接触で複数タグを一括読み取りできるため、商品棚卸しやピッキング作業の迅速化に貢献します。
本製品は、RFIDユニットを装着することで、ラベルのカラー印刷とRFIDデータの書き込み(リード・ライト処理)を同時に行えます。従来、印刷と書き込みに2工程を要していた作業を1工程に集約できるため、RFIDラベルの作成にかかる時間を大幅に短縮し、現場の生産性向上に大きく寄与します。
お客様の課題に合わせた最適なラベル内製化支援
LG-P800およびLX-D400は、多品種小ロット生産時代におけるラベル内製化のニーズに対応するため、それぞれ異なる強みを持つ製品として開発されました。LG-P800は、新開発顔料インクとダウンタイムレス機能により、「高品質な商品表現」と「安定的な稼働」を両立させたいお客様の要件を満たします。
一方、LX-D400は、毎秒330mmの高速印刷とRFIDオプションによる工程集約機能により、「高生産性」と「物流・在庫管理の革新」を追求するお客様の戦略を強力に支援します。
事務機器ねっとでは、お客様の具体的な利用シーンや求められる機能、将来的な拡張性を詳細にヒアリングし、LG-P800とLX-D400の中から、お客様のビジネスに最も貢献する最適なソリューションをご提案いたします。ぜひこの機会に、最新のカラーラベルプリンティング技術の導入をご検討ください。
※1.簡単な操作で多彩なラベルを作成できるキヤノンラベルプリンター専用ソフト。 ※2.化学品の容器や包装に貼り付けられ、その化学品の危険有害性の種類や程度を分かりやすく伝えるためのラベル。 ※3.印刷される画像のパターンによって、印刷速度が異なる場合があります。 ※4.Radio Frequency Identification の略。電波を使ってICタグに記録された情報を非接触で読み書きする自動認識技術。 ※5.食品包装をターゲットにしたFDA/EUガイドライン上の安全性基準。食品に直接接しない面への印刷を前提としています。 ※7.用紙幅とほぼ同じ長さのプリントヘッドが固定されており、ヘッドは動かずに紙送り機構のみで印刷を行う方式。