複合機のネットワーク設定【社内LAN・無線・外部からの侵入対策】

「複合機をネットワークにつないでいるが、セキュリティ面が気になっている」
「管理画面のパスワードを、設置時のまま変えていない気がする」
「スキャンしたデータをクラウドに送りたいが、設定の方法が分からない」
こうした声を、情報システムや総務のご担当者様から伺うことがあります。複合機はネットワークに接続されたコンピュータであり、パソコンやサーバーと同じようにセキュリティの対象になります。しかし設置後の設定を見直す機会は少なく、初期状態のまま何年も使われていることが少なくありません。
結論から言うと、複合機のネットワーク設定は、①管理画面のパスワードを初期値から変更する、②使わないプロトコルを無効化する、③ファームウェアを更新する、の3点が最低限の対策です。この3点だけでも、リスクは大きく下がります。
本記事では、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに、接続方式の選び方・最低限のセキュリティ設定・スキャン送信の設計・確認すべき項目を整理します。
事務機器ねっとからのお願い
複合機の接続方式
有線LAN(推奨)
LANケーブルでネットワークに接続します。通信が安定し、速度も出るため、業務用複合機では基本の接続方式です。
固定IPアドレスを割り当てておくと、パソコン側の設定が安定します。DHCP(自動割り当て)では、再起動のたびにアドレスが変わり、印刷できなくなることがあります。
無線LAN(Wi-Fi)
配線が難しい場所では選択肢になります。ただし次の点に注意してください。
- 通信が不安定になると、大きなデータの印刷で失敗することがある
- ゲスト用Wi-Fiに接続しない(社内ネットワークと分離されている場合、パソコンから見えません)
- 暗号化方式(WPA2以上)を確認する
USB直結
1台のパソコンだけで使う場合の方式です。ネットワークに接続しないためセキュリティリスクは最小ですが、共有できません。
モバイル接続(AirPrint等)
スマートフォンやタブレットから印刷する機能です。便利ですが、同じネットワーク内の誰でも印刷できる状態になることがあります。認証と組み合わせて使ってください。
最低限やるべき3つのセキュリティ設定
1. 管理画面のパスワードを変更する
最も重要かつ、最も見落とされている項目です。
複合機には、ブラウザからアクセスできる管理画面(Web管理ツール)があります。ここから設定の変更、アドレス帳の閲覧、ログの確認ができます。
初期パスワードはメーカー共通で、公開されています。 変更していない場合、同じネットワークにアクセスできる人は誰でも管理画面に入れます。
確認方法
複合機のIPアドレスをブラウザに入力し、管理画面にアクセスします。初期パスワード(機種のマニュアルに記載)でログインできてしまうなら、変更が必要です。
2. 使わないプロトコルを無効化する
複合機は多数の通信プロトコルに対応していますが、実際に使うのはごく一部です。
無効化を検討すべきもの
- FTP:暗号化されないファイル転送
- Telnet:暗号化されない遠隔操作
- SNMP v1/v2c:機器監視用。使う場合はv3を推奨
- 未使用のポート
使っていないものを開けたままにしておく理由はありません。管理画面から無効化できます。
3. ファームウェアを更新する
複合機のファームウェア(内部ソフトウェア)にも脆弱性が見つかることがあります。メーカーが修正版を提供します。
確認すること
- 現在のファームウェアバージョン
- 更新の方法(自動更新に対応しているか、業者が対応するか)
- 更新の頻度
保守契約に入っている場合、定期点検時に業者が対応してくれることがあります。契約内容を確認してください。
スキャン送信の設計
複合機のスキャン機能は、送信先の設定によってリスクが変わります。
共有フォルダへの送信(SMB)
社内のファイルサーバーやパソコンの共有フォルダに直接送る方式です。
設定時の注意
- 送信用のアカウントには、そのフォルダだけにアクセスできる権限を与える(管理者権限は使わない)
- パスワードは複合機内に保存されるため、退職者のアカウントを使わない
- SMBのバージョン(SMBv1は非推奨)
メール送信
スキャンデータをメールで送る方式です。
設定時の注意
- SMTPサーバーの認証情報が複合機内に保存されます
- 誤送信のリスク:アドレス帳から選ぶ際、宛先の確認画面を表示する設定にしてください
- 添付ファイルのサイズ上限
クラウドストレージへの送信
Google Drive、Dropbox、SharePointなどに直接送る方式です。対応機種であれば、複合機の操作パネルからログインして使えます。
設定時の注意
- 個人アカウントではなく、業務用アカウントを使う
- 認証情報の保存方法(機器に残るか、都度認証か)
- 退職者のアカウントで設定していないか
クラウド連携の実装はクラウドプリントの解説記事にまとめています。
アドレス帳の管理
複合機のアドレス帳には、FAX番号・メールアドレス・共有フォルダのパスが登録されます。
これは個人情報と社内情報の集合体です。
- 定期的に棚卸しし、不要な宛先を削除する
- 退職者・取引終了先の情報を残さない
- リース返却時には必ず消去する(本体の初期化とは別に、アドレス帳の消去を確認)
印刷ログとアクセス管理
誰が何を印刷したかを記録する設定です。
ユーザー認証
ICカード、暗証番号、社員証との連携。ログインしないと使えない状態にします。
認証印刷(セキュアプリント)
印刷指示を出しても、機械の前で認証するまで出力されません。置き忘れによる情報漏えいを構造的に防げます。
ログの保存
印刷・コピー・スキャン・FAXの記録が残ります。ISMSやプライバシーマークの審査で確認される項目です。
設定項目の全体像は複合機の情報セキュリティ対策チェックリストで解説しています。
外部からの脅威に対する備え
インターネットから直接アクセスできる状態にしない
複合機にグローバルIPアドレスを割り当て、インターネットから直接アクセスできる状態にするのは危険です。社内ネットワーク内に置き、外部からは到達できない構成にしてください。
遠隔保守のために外部接続が必要な場合、業者が提供する専用の仕組み(VPNや専用のクラウド経由)を使います。
ネットワークの分離
可能であれば、複合機を業務用ネットワークのセグメントに置き、ゲスト用Wi-Fiとは分離してください。
ファイアウォールの設定
複合機が使うポート以外を閉じます。必要なポートは機種のマニュアルに記載されています。
設置時に確認しておくこと
新しく複合機を導入する際、設置作業のなかで次の設定が行われます。立ち会って内容を確認しておくと、後から困りません。
- 割り当てたIPアドレス
- 管理画面のパスワード(変更したか、何に変えたか)
- 有効になっているプロトコル
- スキャン送信先の設定内容
- 認証設定の有無
この情報を記録して社内で共有しておいてください。担当者が代わったときに、誰も設定を把握していない状態を避けられます。
設置時の段取りは複合機の設置前チェックリストにまとめています。
よくあるご質問
Q. 管理画面のパスワードが分かりません
A. 保守業者に依頼すれば確認・再設定してもらえます。設置時のまま変更していない場合は、この機会に変更してください。
Q. ファームウェアの更新は自分でできますか
A. 機種によります。管理画面から更新できるものもあれば、業者による作業が必要なものもあります。更新中に電源が切れると故障の原因になるため、手順を確認してから実施してください。
Q. 無線LANで使っても問題ありませんか
A. 暗号化方式がWPA2以上で、社内ネットワークに接続されていれば実用上の問題はありません。ただし大容量データの印刷では、有線のほうが安定します。
Q. スキャンしたデータはどこに保存されますか
A. 送信先に設定した場所(共有フォルダ、メール、クラウド)に保存されます。ただし複合機の内部ストレージにも一時的に保持されるため、リース返却時のデータ消去が必要です。
Q. 複合機がウイルスに感染することはありますか
A. 一般的なパソコン向けウイルスがそのまま動作することは稀ですが、脆弱性を突いた攻撃の対象になり得ます。ファームウェアの更新と、不要なプロトコルの無効化が基本の対策です。
ネットワーク設定のご相談なら「事務機器ねっと」にご相談ください
複合機のネットワーク設定は、接続方式・セキュリティ設定・スキャン送信先の設計をまとめて考える必要があります。設置時に適切に設定し、その内容を記録して引き継げる状態にしておくことが重要です。
複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)は、SHARP・Canon・FUJIFILM・KYOCERA・OKI・EPSON・KONICA MINOLTA・HPの8メーカーを取り扱う独立系マルチベンダー販売店として、設置時のネットワーク設定から対応しています。
お取引にあたっての体制
- ISO/IEC 27001(ISMS)情報セキュリティマネジメントシステム認証を取得・維持
- 創業35年・事務機器ねっと運営20年・8メーカー取扱
- 東京都内では区域担当制の自社メンテナンス体制
- 本体リース料金・カウンター料金・保守費を分けた明細でお見積り
ネットワーク構成・スキャンの送信先・必要なセキュリティ要件をお伺いした上で、設定方法をご提案いたします。ご相談はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
まとめ
複合機のネットワーク設定は、①管理画面のパスワードを初期値から変更する、②使わないプロトコル(FTP・Telnet・SNMPv1等)を無効化する、③ファームウェアを更新する、の3点が最低限の対策です。
なかでも最優先は管理画面のパスワード変更です。初期パスワードはメーカー共通で公開されており、変更していなければ同じネットワークにいる誰でも設定を変更できます。
あわせて、アドレス帳の棚卸しとリース返却時の消去を運用に組み込んでください。複合機は「印刷する機械」であると同時に、社内情報が集まる機器でもあります。
事務機器ねっとからのお願い
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この記事の監修者
株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー
大塚 義美
複合機メンテナンス許可認定
FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON
経歴
複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。











事務機器ねっとは「コピー機・プリンターリース価格満足度 第1位」と「コピー機・プリンター販売サイト導入後のサポート満足度 第1位」の二冠を獲得しました。
第37号‐24020002
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