情報化社会の現在、新しいシステムやPCなどのIT機器に合わせ、複合機の高性能化も進んでいます。しかし、その最新機能を逆手に取り、複合機に残ったデータを盗み出して悪用されたり、流出されてしまう危険性もあるのです。今あなたは「データを悪用なんて大袈裟な…」と思っていませんでしたか? 今回は決して他人事ではない、意外と知られていない複合機に残るデータとセキュリティについて解説いたします。
<目次>
・複合機の便利機能の一つ、スキャンのデータ再利用
・複合機のデータ保存の危険性とメーカーの対策
・どこでコピーすれば安全なの? 職場や自宅、コンビニの複合機のセキュリティ
・事務機器ねっとおすすめ、セキュリティが強い複合機3選
複合機の便利機能の一つ、スキャンのデータ再利用
複合機でコピーやスキャンをした後、枚数が足りないことに気付いたり、もう少し余分に印刷したい時に、わざわざ原本を持ち出さなくても保存してあるデータから再度印刷することができるという複合機ならではの機能です。
実は複合機の中にはハードディスクが搭載されており、コピーやスキャンで一度読み込んだ画像データやPCから印刷をかけた文書データが一時的に保存されています。この機能のおかげで、一定期間データを呼び戻して再度印刷することが可能なのです。
複合機のデータ保存の危険性とメーカーの対策
プリントやスキャニングの操作が終了すると、文書データや画像データはハードディスクから自動的に削除されますが、一部のデータは残ったままとなる場合があります。また、消去操作を行っても実データ部は残っています。これは、ジョブなどの所在を示す情報だけを削除しているためです。これにより、一見削除されたように見えていても、実際には他のデータで上書きされるまで実データ部は残っているのです。これは専門的な知識と技術を持ってすれば、消去された後でも復元させることが可能なのです。
先ほどご紹介したデータが残る機能は便利ではありますが、もしセキュリティ対策が取られていない無防備な状態だとすると、会社の重要なデータや個人情報が流出してしまう危険性がありますよね。でも大丈夫、当然のことながらメーカー各社はその対策も練っているので、ハードディスクにあるデータを自動的に消去する機能やセキュリティ面もバッチリです。
Canon
キヤノンの複合機はハードディスク完全消去機能を使用すると、操作後に残留したデータが自動削除されるため、セキュリティを強化することが可能です。また、iR-ADV 8505/8595/8585では、FIPS140-2 認証取得のハードディスク暗号化チップが標準搭載されており、データは自動的に暗号化されるためハードディスク抜取りによる情報漏えいを防止します。
SHARP
シャープのデータセキュリティキットでは、ドキュメントファイリングデータやジョブデータの消去に実データ部を乱数値等により上書きした後、データの所在を示す情報を削除する方法を採用しており、実データ部を復元できないようにしています。また、自動的に機能するため、データを扱う際に特別な操作を行うことなく、高いセキュリティを維持できます。
FUJI FILM
富士フイルムのハードディスクの上書き機能は、コピー、ファックス、スキャン、プリントの処理が終了すると、それぞれの処理で使用したハードディスクの領域からデータを削除したあと、情報が記録されていた場所に情報を持たないデータで自動的に上書きします。これにより、ハードディスクに記録されていたデータの不正な取り出し/復元を防ぐことが可能になります。
どこでコピーすれば安全なの?
職場や自宅、コンビニの複合機のセキュリティ
セキュリティ面を考慮するとご自身の職場で印刷することが一番安全でしょう。不特定多数の人が使用するわけでもなく、かつオフィス自体の入館者管理もしっかりしていれば部外者に漏れることはまずありません。新型コロナウイルスの影響によりテレワークが増加しましたが、自宅の場合も安心です。一人暮らしなら自分以外、家族と暮らしていても家族以外に情報は漏れることはありませんし、悪用するなんてまず考えないでしょう。
しかし、在宅勤務中に書類のプリントやスキャニングをしたいけど、自宅にはコピー機がない…、そのような方は近所のコンビニにあるマルチコピー機を利用される方も多いのではないでしょうか。ではコンビニのマルチコピー機にデータは残らないのか? そして、そもそも安心なのかを考えたことはありますか?
日本中どこにでもあるコンビニのマルチコピー機は、テレワークをはじめ、出張先や営業での外出先など、いざという時に重宝します。しかし誰でも気軽に利用できるコンビニのマルチコピー機は、セキュリティ面が心配になりますよね。
結論から言いますと、コンビニのマルチコピー機は安心安全です。
一般の複合機は機械内に一定期間データが残ってしまいますが、コンビニのマルチコピー機の場合は短時間で削除されるように設計された特別仕様だからです。そして、どうしてもデータを抜き取る必要がある場合は、印刷直後に専用の機械で吸い取らなければできないくらいの面倒臭い作業が必要になります。全国のコンビニは、セブンイレブンが富士フイルム製、ローソンとファミリーマートはシャープ製などのマルチコピー機となっています。お馴染みの複合機メーカーで信用性があると安心してコピーできますよね。
また、ネットプリントサービスでは、オフィスや家で作成した書類を、あらかじめインターネット上のクラウドドライブにアップロードしておけば、コンビニのマルチコピー機から印刷番号を入力するだけで直接プリントすることができます。この場合は必ずパスワードを設けておいて、印刷期間を最短時間に設定して印刷をするとより安全です。
ちなみにシャープのマルチコピー機にはネットワークプリントfor Bizというサービスがあり、強固なセキュリティで守られたクラウド上にデータを登録しているため、ビジネス利用なら安心設計のサービスです。
事務機器ねっとおすすめ、セキュリティが強い複合機3選
今回ご紹介した複合機のハードディスクに残っている情報の漏えいリスクは、持ち出しの他にも様々な脅威にさらされています。例えば、
・ネットワークからの不正アクセス
・電話回線からの不正アクセス
・操作パネルの不正アクセス
・印刷物やFAX誤送信による情報漏えい 等
特にサイバー犯罪が増えているため、インターネットからの不正アクセスに関しては、ユーザー認証機能やフィルタリング機能を利用すると良いでしょう。これらの脅威に対応した複合機を3つ紹介いたします。
シャープ MX-C306W
操作性がとにかく高く、初めての複合機でも安心です。また文字認識をしてテキストデータに変換してくれるOCRが、Excel,PowerPoint,Wordへの書き出しも対応しています。更にオプションにはなりますが、データの所在を示す情報を削除する方法をとり、実データ部を復元できないようにする、データセキュリティキットの追加も可能です。
京セラ TASKalfa 3252ci
USBの使用制限機能や不正アクセス対策でデータを暗号化する機能を搭載。万が一データが盗まれたとしても暗号化により保護されているので、機密情報の漏えいを防ぐことができるセキュリティ機能が充実しています。
富士フイルム DocuCentre-Ⅵ C4471
ファックスを自動振り分けする機能も搭載。相手先の番号やダイヤルイン番号ごとに自動でフォルダーに振り分けをしてくれるため、パソコンや外出先のモバイル端末で確認することも可能。書類の紛失や放置がなくなるので、ペーパーレス化の推進とセキュリティ面も向上するため、情報漏えいリスクを抑えられます。
便利なデータ保存機能も、裏を返せば書類が残ってしまうという危険性が含まれていることがわかりました。また、コンビニのマルチコピー機で一番気をつけるべき情報漏えいは、スキャン台の上に免許証や書類を忘れたり、USBを取り忘れるヒューマンエラーの方が心配ですよね。こればかりは自分自身で気をつけなければいけないことなので、くれぐれも原稿の忘れ物には十分注意しながら活用しましょう。
あなたはコンビニのマルチコピー機を使用したことがありますか? 私はとてもよく利用するので便利さを実感しています。コピーをしたりスキャンをしたりと大学の頃にはとてもお世話になりました。現在では住民票の写しや、イベントのチケット、車の保険、宝くじなど、あらゆる機能が搭載されており、いざというとき...