公開日 2025.12.18 更新日 2025.12.18

【電気代削減】複合機の省エネ対策|消費電力の基礎と効果的な節電方法を解説

複合機やコピー機は、日常業務で欠かせない機器です。しかし、年間でどれくらいの電力を使っているか把握している方は少ないでしょう。

 

本記事では、複合機・コピー機の消費電力に関する基本情報を整理し、効果的な節電方法を複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに詳しく解説します。

目次

なぜ今、複合機・コピー機の省エネ対策が重要なのか

複合機・コピー機の省エネ対策が重要になる背景には、電気代の上昇とオフィス機器の稼働時間増加が挙げられます。多くの企業では複合機・コピー機を長時間稼働させているため、待機状態でも電力を消費する点が課題です。

 

複合機・コピー機の省エネ対策は目先の消費電力を抑えるだけでなく機器の寿命維持にもつながるというメリットもあります。企業全体の環境配慮にも直結するため、対策を試みてみましょう。

複合機・コピー機の消費電力を左右する3つの基本指標

複合機・コピー機の電力使用量を正しく理解するには、最大消費電力や動作時平均電力などの基本指標を把握しておきましょう。なぜなら、消費電力の特徴を知ると運用改善につながり、無駄な電気代を抑える判断がしやすくなるためです。

 

消費電力を左右する3つの基本指標は、以下のとおりです。

・最大消費電力
・動作時平均電力
・待機時消費電力

 

ここでは、複合機・コピー機の消費電力を左右する基本指標を3つに分けて詳しく解説します。

最大消費電力

最大消費電力とは、複合機・コピー機が最も大きな負荷を受けた時に必要とする電力量を示す数値のことです。

 

具体的なシーンとしては主電源を入れて起動した時や、スリープまたは待機状態から印刷やコピーを開始した時が挙げられます。

 

最大消費電力は、電源回路の負荷にも影響するためオフィスの電源環境に合わない機種を選ぶと安全性に欠けると感じるかもしれません。そのため、最大消費電力を事前に把握しておくと、導入前の電力計画を立てやすくなるでしょう。また、最大値と普段の運用時の数値を比較すると効率性の把握も可能にもなるため、エネルギー管理の改善に役立ちます。

動作時平均電力

動作時平均電力とは、複合機・コピー機が印刷や読み取りなど、処理を実行している間に消費する電力量の平均値のことです。

 

例えば、会議資料をまとめて印刷している時やスキャンや、FAX送信を連続で行っている時が動作時平均電力に該当します。最大消費電力と比べて日常運用に近い数値になるため、実際の電気代を推測する際に役立ちます。

 

動作時平均電力が高い機種は、業務量が増える状況で電気代が膨らむ傾向があるため、コスト管理を重視する企業では慎重に確認しなくてはなりません。さらに、印刷速度や搭載機能が増えると消費電力が上がる傾向があるため、必要以上に高性能なモデルを選ぶと無駄なエネルギー消費につながることを覚えておきましょう。

 

近年主流となっている省エネ性能が高いモデルは、動作時でも電力を抑える設計になっているため、多くの企業に選ばれています。

待機時消費電力

待機時消費電力とは、複合機・コピー機が操作されていない状態で消費する電力量のことです。

 

待機時の状況を理解すると、設定変更による省エネ対策を実践しやすくなり、日常運用の電力管理に役立つでしょう。省エネ性能に優れた機種はスリープ移行を素早く行う設計になっているため、待機時の電力を抑える工夫が施されています。

 

また、待機時消費電力が低い機種は、長期的なコスト削減に貢献するため、導入時の比較対象として重要な指標になるはずです。

 

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省エネ性能を比較する指標「TEC値」とは?

TEC値※1とは、一週間の標準的な稼働を想定して算出された消費電力量のことです。印刷やスリープ復帰を含む複数の動作を組み合わせた数値になるため、単純な最大消費電力だけでは分からない総合的な電力効率を把握できます。

 

TEC値が低い機種は省エネ性能が高く、日常運用での電気代を抑えられる点が特徴です。例えば、TEC値が3kWhの複合機・コピー機である場合、1週間の消費電力量は「3kWh」です。使っている複合機・コピー機のTEC値を知りたい場合、国際エネルギースタープログラムサイトの「適合製品検索」からチェックできます。

 

導入前にTEC値を確認すると運用時の電力負担を予測しやすくなるため、長期的なコスト管理にも役立つでしょう。

 

※1 国際エネルギースタープログラム|オフィス機器の国際的省エネルギー制度

複合機・コピー機の電気代を抑える6つの省エネ対策

複合機・コピー機の電力消費を抑えるには、日常運用の見直しや、設定変更をして効率良く節電しましょう。では具体的にどのような取り組みをすれば良いのでしょうか。

 

おすすめの省エネ対策法は、主に以下の6つです。

・スリープモード・低電力モードの自動設定
・誤印刷を減らす(プレビュー活用・印刷設定確認)
・印刷はできるだけ「まとめ印刷」
・内部清掃・部品点検を定期的に行う
・紙の使用量を減らすためのペーパーレス運用
・省エネ性能に優れた最新モデルへ入れ替える

 

それぞれ詳しく紹介します。

スリープモード・低電力モードの自動設定

複合機・コピー機は待機状態でも電力を消費するため、スリープモードや低電力モードの自動設定をして節電に役立てましょう。機器を一定時間使用しない状況が続くと自動的に電力消費を抑える仕組みが働くため、無駄な電力を削減できます。

 

以前は復帰に時間がかかる場合がありましたが、最新機種は復帰速度が速いため、業務への影響は小さくなって来ています。使用パターンにあわせて短めの移行時間を設定すると効果が高まり、日常の電力管理がより効率化するでしょう。

誤印刷を減らす(プレビュー活用・印刷設定確認)

誤印刷が多い環境では印刷回数が増え、電力消費と紙の浪費につながりかねません。そのため、印刷前にプレビューを確認し、印刷内容のズレがないか確認しましょう。また、用紙サイズやモード設定を事前に確認する習慣をつけると、誤った設定による再印刷を避けられます。

 

両面印刷や配布資料用の体裁調整では、細かな見落としが起きやすいため、印刷前の確認が効果的です。

印刷はできるだけ「まとめ印刷」

印刷を小分けに行う環境では、複合機・コピー機の立ち上がりが増え、結果として動作時の電力消費が大きくなる傾向にあります。そのため、資料が複数ある場合、内容を整理してまとめて印刷して消費電力を抑えましょう。

 

業務フローを見直して印刷タイミングを統一すると効率が高まり、複合機・コピー機の稼働も安定します。この時、文章の確認や修正を事前に済ませてから印刷へ進む意識を持つと、無駄な再印刷防止にも役立つでしょう。

内部清掃・部品点検を定期的に行う

複合機・コピー機を長く使う環境では内部にホコリがたまり、動作負荷が増える傾向にあります。そのため、保守サービスによる定期的な内部清掃や部品点検をして余分な電力消費を抑えましょう。トナー残量やローラーの状態を確認すると印刷品質が維持され、エラー発生率も減らせます。

 

何より、内部清掃や部品点検を実施することで、複合機・コピー機の寿命に影響するのが嬉しいポイントです。 動作安定と電気代削減のために定期メンテナンスを保守サービス会社へ依頼し ましょう。

 

関連記事:複合機(コピー機)の故障を防ぐ!日常のセルフメンテナンスと保守契約のポイント

紙の使用量を減らすためのペーパーレス運用

紙の使用量を減らす取り組みは印刷回数の削減につながり、複合機・コピー機の稼働を抑える効果が期待できます。そこでおすすめしたいのが「ペーパーレス運用」です。紙でやり取りしていたデータもデジタルデータで共有すれば、印刷の必要性が減り、省エネと業務効率向上の両方に貢献します。

 

こうして、印刷機会が減ると複合機・コピー機の負荷が下がり、長期的な電気代削減が期待できます。また、ペーパーレス運用は環境配慮の観点からも価値があるため、積極的に取り入れましょう。

省エネ性能に優れた最新モデルへ入れ替える

複合機・コピー機の電力効率を大きく改善したい場合、省エネ性能に優れた最新モデルへの入れ替えがおすすめです。近年の複合機・コピー機は、スリープ復帰速度や消費電力が大幅に改善されており、運用コストの低減に直結するといわれています。

 

新しいモデルを導入すると印刷効率だけではなく、安定した動作も期待できます。初期費用を理由に更新を躊躇するケースもありますが、長期的な電気代の削減を考えると入れ替えの費用は必要な初期投資といえるでしょう。

 

複合機・コピー機の節電時の注意事項

複合機・コピー機の節電を進める際は、誤った方法によって機器へ負荷がかかる可能性があります。そのため、適切な使い方を理解し、電気代の削減と業務の安定化を図りましょう。

 

ここでは、以下の複合機とコピー機の節電時の注意事項を2つ紹介します。

・電源コードを抜かない
・印刷制限の徹底は逆に業務効率を下げることも

電源コードを抜かない

複合機・コピー機を節電したい状況でも電源コードを抜いてはいけません。なぜなら、電源を完全に落とすと、再起動時に大きな電力が発生するためです。さらに、設定のリセットや通信エラーが起きやすくなるため、業務に影響が出る可能性も高まります。節電を意識したい場合は設定の見直しを優先し、電源コードに触れないようにしましょう。

印刷制限の徹底は逆に業務効率を下げることも

印刷量を減らしたい状況で厳しい印刷制限を設けると、かえって業務効率を下げてしまうかもしれません。印刷が必要な資料の準備が遅れると作業全体が滞り、結果的に確認作業が増えて時間の浪費が起きる可能性があります。

 

そのため、たとえ節電目的だとしても、必要な印刷を妨げない範囲に留めましょう。こうして、無駄な印刷を減らす取り組みと、業務の流れを維持する工夫を両立させることで、効率と省エネの両面が安定するはずです。

省エネ性能の高い複合機の選び方

では、実際に複合機・コピー機を選ぶ際、どのような所に注目すれば良いのでしょうか。導入段階で適切な判断ができれば、運用コストを抑えやすくなり、長期的な電力管理にも役立ちます。

 

ここでは、省エネ性能の高い複合機・コピー機の選び方を以下3つ紹介します。

・省エネ認証マークに対応している
・TEC値(年間消費電力量)の低いモデルを選ぶ
・待機時・スリープ時の消費電力が少ないか

省エネ認証マークに対応している

省エネ性能を確認する場面では、省エネ認証マークに対応した複合機・コピー機かどうかを確認しましょう。認証マークは一定基準を満たした省エネ性能を示しています。

 

特に、複合機・コピー機は稼働と待機を繰り返すため、総合的な電力効率が求められます。省エネ効果を高めるためにも、ぜひチェックしてみましょう。

TEC値(年間消費電力量)の低いモデルを選ぶ

複合機・コピー機の年間消費電力量を比較したい場面では、TEC値が重要です。一般的に、TEC値が低いモデルは省エネ性能が高く、日常運用での電力負担を抑えられます。印刷量が多い環境ではこの差が年間で大きな電気代の差につながるため、導入前に比較しておきましょう。

待機時・スリープ時の消費電力が少ないか

複合機・コピー機は稼働時間よりも待機時間が長くなる傾向があるため、待機時やスリープ時の消費電力も確認しておきましょう。この数値が低いモデルは無駄な電力を抑えやすく、長時間の運用でも電力負担が軽減されます。

 

さらに、スリープ復帰が速い機種は、業務への影響も少ないため、導入メリットをより実感できるはずです。

省エネ性能が高いおすすめ複合機3選

オフィスで日々使用する複合機は、印刷やスキャンなど便利な機能が揃っている反面、長時間稼働することで消費電力が気になる製品でもあります。そこで注目したいのが、省エネ性能に優れた複合機です。

 

消費電力の指標となるTEC値が低いモデルを選ぶことで、電気代の節約だけでなく、環境負荷の低減にもつながります。ここでは、省エネ性能が高く、かつ実務でも使いやすい複合機3機種をご紹介します。

シャープ BP-41C26

シャープのBP-41C26は、A3サイズ対応のオールインワン複合機でありながら、省エネ性能に優れたモデルです。TEC値は0.25 kWh/週と、同クラスの複合機の中でも低い消費電力を実現しており、長時間の稼働でも電力の無駄を抑えられます。

 

利便性の面でも優れており 、各種クラウドサービス 「OneDrive」や「Google Drive™」、Microsoftの「Entra ID」に対応可能です。オプションでシャープ独自の「COCORO OFFICE」を導入すれば、オフィスの場所にとらわれず効率的に働くことができ、無駄な機器稼働を減らすことにもつながります。

富士フイルム Apeos C2571 (Model-P)

富士フイルムのApeos C2571 (Model-P)は、TEC値0.25 kWh/週と、オフィス向け複合機の中でも省エネ性能が高いモデルです。環境負荷に配慮した設計がなされており、国際エネルギースタープログラム(Energy Star)に準拠した省エネ対策も取り入れられています。

 

なお、FAXやスキャナ機能は別途オプションとなりますが、必要な機能のみを追加することで無駄な電力消費を抑えられる点も省エネ面での利点です。さらに、タブレット並みの10.1インチ大型操作パネルを採用して操作性を高め、新トナーにより色の表現や再現性も向上しており、機能性と省エネ性能の両立が図られています。

キヤノン Satera MF842Cdw

キヤノンのSatera MF842Cdwは、同系統のMF755、MF753、MF751より高性能でありながら、TEC値0.34 kWh/週と省エネ性能にも優れたA4複合機です。エコマーク認定や国際エネルギースタープログラム(Energy Star)への適合、さらにグリーン購入法にも対応しており、環境負荷低減に配慮した設計が特徴です。

 

省エネ性能に加え、Canon PRINT Businessアプリを用いたモバイル連携や、AirPrint、Mopria対応など、PCがなくても印刷可能な多様な機能を搭載しています。これにより、オフィスでの効率的な運用を支えつつ、無駄な電力消費を抑えられます。

 


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複合機・コピー機の導入・ご相談なら「事務機器ねっと」にお任せ!

複合機・コピー機の導入を検討する場面では、機種選定から運用環境の最適化まで丁寧に対応できる専門サポートが重要です。

 

事務機器ねっと」では業務規模に合う複合機・コピー機の提案を行っており、省エネ性やコスト面を踏まえた導入支援を進めています。弊社を通して複合機・コピー機を導入すれば、スムーズな運用が実現し、長期的なコスト削減にもつながります。専門的な視点で最適な提案を受けたい企業はぜひご相談ください。

 

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複合機・コピー機の省エネに関するよくある質問

複合機・コピー機の省エネに取り組む際には、正しい知識を理解しておきましょう。ここでは、代表的な質問とその回答を紹介します。

複合機・コピー機の省エネ性能は、機種によって大きく違うのでしょうか?

複合機・コピー機の省エネ性能は機種によって異なります。最新モデルは待機時やスリープ時の消費電力が抑えられており、省エネ設計が標準化されています。

 

一方、旧型機では待機電力が高くなる傾向にあるため、運用時間が長いと電気代が高額になるかもしれません。

電源をこまめに切ったほうが節電になりますか?

複合機・コピー機は再起動時に大きな電力を消費するため、こまめに電源を切ることは逆効果です。節電を意識する場合、スリープモードや低電力モードを活用し、電源を切らずに待機電力を抑えましょう。

印刷枚数が多い職場でも、節電は可能ですか?

印刷量が多い職場でも節電は可能です。まとめ印刷や誤印刷の削減、ペーパーレス運用を取り入れると複合機・コピー機の稼働を抑えられます。また、最新モデルを使用すると動作効率が高く、省エネ効果を安定して得られるでしょう。

複合機・コピー機の省エネ設定は自分で変更できますか?

多くの複合機・コピー機は、スリープ時間や低電力モードの設定を利用者自身で変更できます。その際、必ず操作パネルや取扱説明書を確認しながら行いましょう。

まとめ

複合機・コピー機の省エネ対策は、スリープモードや低電力モードの活用、誤印刷の削減、まとめ印刷やペーパーレス運用など、日常的な工夫を積み重ねることが重要です。また、省エネ性能の高い機種を選ぶことで、電気代を抑えながら安定した業務運用ができるでしょう。

 

事務機器ねっと」では、業務環境に合った複合機・コピー機の選定から省エネ設定のサポートまで幅広く対応しております。今使っている複合機・コピー機の消費電力を抑えたい企業や、新しい複合機・コピー機を検討している企業はぜひご検討ください。

 

本記事は、複合機・コピー機の専門店「事務機器ねっと」(運営:株式会社庚伸)のノウハウをもとに提供しています。複合機・コピー機の選定・導入に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

 

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この記事の監修者

株式会社庚伸 『事務機器ねっと』 オフィスサポートディビジョン
フィールドエンジニアグループ |
シニアマネージャー

大塚 義美

複合機メンテナンス許可認定

FUJIFILM/Canon/SHARP/EPSON

経歴

複合機のメンテナンスエンジニアとして業界歴26年以上のキャリアから、フィールドエンジニアグループのマネージャーとして事業部を統括。凡そ4万5,000回以上の複合機メンテナンス実績があり、コピー機やプリンターを隅々まで熟知。お客様が抱えられている課題やお悩みに対して真摯に向き合ってサポートすることがモットー。これまでに培った多くの知見と経験を活かした有益な情報を発信いたしますので、少しでもお役立ていただけると幸いです。

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