片面印刷をしたら用紙が反り返って扱いに困る…このようなお悩みはありませんか?
事務機器ねっとでは社員の名刺を内製しており、筆者が名刺印刷を担当しております。ある日、名刺の裏面だけを多めに印刷してストックをしておいた際(※)、その数十枚の用紙が反り返り(カール)してしまいました。
しかし、片面だけでなく両面印刷した際は、極端に用紙が反ることはありません。どうして片面印刷だと用紙が反り返るのか。そもそも、なぜ用紙は反り返るのか。今回は用紙の反り返りについて解説いたします。
※:名刺の裏面は全社員共通であるため、多めに印刷してストックすることができます。
ちなみに、事務機器ねっとが使用している用紙は、富士フイルムビジネスイノベーションのDT名刺印刷Nホワイト GAAA6177を使用しています。(坪量:190g/m2、紙圧:200μm、エコ商品ねっと登録商品)
<目次>
・なぜ反り返ってしまうのか? ポイントは用紙の水分量
・熱が加えられる場合 ・多湿・乾燥した環境の場合
・用紙の反り返りによる悪影響
・用紙の反り返りの改善策を紹介
・レーザープリンターの印刷後、用紙の上に重しを置く
・用紙の水分量に気を配る
なぜ反り返ってしまうのか? ポイントは用紙の水分量
事務機器ねっとのメンテナンスマンへの聞き込みや調査により、片面印刷後に反り返ってしまう理由は、用紙の水分量が原因であることが判明しました。
ご存じの通り紙は植物を原料とし、繊維構造という造りをしています。
繊維構造とは、繊維と繊維が絡み合い、結合して層を作っていることです。絡み合った繊維の間には小さな隙間があり、この小さな隙間が水分を取り込むと膨張し、逆に水分を失うと縮みます。
つまり、用紙に対して「熱が加えられる」「湿気が多い環境に置いておく」など、水分量に変化が起きると反り返りが発生するということです。
熱が加えられる場合
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ブログ記事:複合機の中ってどうなっているの?構造・仕組みをわかりやすく解説!より参考
レーザープリンターは、樹脂の粉(トナーパウダー)を熱で溶かし、熱い定着器の間に紙を通して定着させる印刷方式です。定着に用いられる温度は180℃〜200℃程と非常に高温で、内部はまるでアイロンのような状態です。それによって用紙の片面だけ水分が蒸発し、反り返りが起きるのです。一方インクジェットプリンターは用紙にインクを噴射して印刷します。このような理由から用紙の反り返りは、レーザープリンターで印刷した際に起こりやすく、インクジェットプリンターではあまり起きません。
右の図は、①帯電②露光③現像④転写⑤定着となっています。⑤から出てくる用紙が高温で定着されたものになります。
多湿・乾燥した環境の場合
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用紙の外側と内側で水分量が変わり、上向きに反り返ってしまう=タイトエッジ
梅雨などの多湿な時期、用紙は特に湿気を含みやすく、自然に反り返ってしまうことがあります。
また、室内の乾燥により水分が蒸発した場合でも反りは起こります。
湿度の低い場所に置くと、その用紙に含まれる水分はどんどん空気中に逃げてしまうのですが、何枚も用紙を積み重ねてある場合、重なった中心部分は従来の水分量のまま、用紙の周りから水分が蒸発していくのです。
そのため、用紙の外側と内側で水分量が変わり、上向きに反り返ってしまいます。この状態はタイトエッジと言われています。
筆者が名刺作成時に困っていた、片面印刷した用紙が上向きに反り返る理由は、レーザープリンターの印刷構造と、湿度の低い場所に用紙を置いて放置したことが原因のようです。
用紙の反り返りによる悪影響
反り返った用紙を使用すると、角や印刷面にインクの汚れが付着してしまったり、印刷終わりの部分で画像がブレたりしてしまいます。この他にも、紙詰まりが発生する・複数枚に用紙どうしが張り付く・用紙の角が折れ曲がる…などの影響が発生します。
用紙の反り返りの改善策を紹介
レーザープリンターの印刷後、用紙の上に重しを置く
レーザープリンターの用紙の反り返りに関しては、印刷構造上の問題のため対応のしようがありません。
少しでも反りを軽減するための次善策は、片面印刷した用紙が暖かいうちに、重し(重たい本や荷物など)を置くと反り返りが軽減されます。何も対策をしないよりはマシですね!
ちなみに、重しは用紙全体が押さえられる物が良いでしょう。用紙全体に重さが均一にかかるようにしないと、反りが中途半端に軽減されてデコボコになってしまいます。
用紙の水分量に気を配る
用紙の水分量を調整するためには、「高温・多湿・直射日光」を避けて保管するようにしましょう。
プリンターやコピー機の用紙トレイ内に入れっぱなし…は間違いです! 用紙トレイに入れたままの場合、就業中はオフィスのエアコン等により湿度が抑えられますが、終業後にエアコンが切れてしまうと湿度が一気に上がります。(夏場は特に湿度が多いため要注意)
しかし、毎日終業時にいちいちトレイから用紙を取り出して保管するのも手間がかかります。そこで、筆者はトレイの中に乾燥剤を入れておく改善策をオススメします。乾燥剤を置くことで湿気対策が可能になります。何も試さないよりは試してみては如何でしょうか?
トレイに乾燥剤を入れる方法は、こちらの記事でもご紹介しています。
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仕事をしていく上で、同じ作業や工程のものがあると思います。コピーやスキャンをするという業務は、何年経っても変わらない業務の一貫でしょう。そうして模索していくうちに裏ワザを発見できるのです!今回は複合機にまつわるちょっとした裏ワザを3つご紹介致します。
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普通の包装紙とは少し違うワンプ。これにより吸水性が増します。
また、用紙の包装紙もとても重要です。
この包装紙のことを「ワンプ」というのですが、このワンプは吸湿性があり、湿度を55%〜60%に保ってくれます。本場の印刷工場でも室温を55%〜65%に保つことが多いため、ワンプは用紙の反り返り防止にとって重要な役割を果たしてくれているのです。
そのため常に大量の用紙をトレイに入れておくのではなく、使用する際にトレイにセットすると良いでしょう。特に毎日何百枚もの印刷をされない方なら、必要な時のセットをオススメします。
今回は、用紙の反り返りについて原因と影響、対策を解説いたしました。
印刷用紙って繊細なのですね…! 少しの湿度、用紙の水分量の変化で印刷に影響が出てしまうことが分かりました。
大抵の場合、用紙の上に重く厚い本などを置けば平らになります。用紙の反り返りが直らない方は、用紙の種類を変えてみるのも手かもしれません。
まずは、使用する用紙を大切に扱い、湿気の対策をして用紙グセを無くしていきましょう!
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業種や用途によって異なる様々な用紙を使用しており、コート紙やマット紙など多すぎる用紙の種類と、紙に合った印刷を施す複合機に驚かされた記憶があります。今回はシンプルに「紙」についてご紹介していきたいと思います!
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複合機の紙送り技術に置いて、ローラーの存在は欠かせません。複合機全体には色々な種類のローラーがありますが、紙を給紙するために一番重要な給紙部には3つのローラーが動いています。3つのローラーは、ピックアップローラー、給紙ローラー、分離ローラーという名称があり、それぞれ給紙に関して重要な役割をになっているのです。